始める前にセルフチェック!越境ECの成長を妨げる4つの間違い

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サイトエンジンは翻訳と、外国語でのホームページの作成、リスティングなどウェブマーケティング支援を主な業務として、様々な業種のお客様の
のお手伝いをしています。

日本への観光客の増加に伴い、インバウンド関連では景気の良い話が飛び交っていますが、日本に来る外国人だけをターゲットとするのではなく、「海外の外国人をターゲットにしたい」というご相談もよく受けるようになりました。今回は、そんな中で出会った、越境ECの成長を妨げる4つの間違いをピックアップしました。

これから越境ECを始めよう!という方にチェックしてみていただきたい内容です。成長が鈍化してしまった、行き詰ってしまったという方の多くが、出だしの部分で間違ったまま始めてしまっています。

どれも商売の基本なのに、「インターネットを通じて」という枕詞を付けたとたんにフィルターがかかったように問題を見落としてしまうことがよくあります。

これから越境ECを始める!という方はぜひ参考にしてみてください。


1.越境ECブーム到来?越境ECの市場規模とは

さて、今回のテーマである越境ECでの陥りがちなミスを取り上げる前に、まずは現状の確認です。
経済産業省が発表した統計によると、国内のBtoCは例年通り高い水準で成長を遂げています。

日本のBtoC-EC市場規模の推移

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ではこの中で実際に海外のお客さんが買っている量はどれくらいでしょうか。発表では、米国の消費者による日本及び中国事業者からの越境ECによる購入額は9千億円(前年比11.1%増)とされており、やはり越境ECも流通規模が増加し続けています。

世界的にもEC市場は伸び続けており、特にインフラの整備の進むアジア圏などの後発国は日々急激な成長を遂げています。越境ECにおいては、市場拡大という追い風と共に、現地EC企業との競争の激化という面もあり、マーケットの設定やターゲットの選定などをしっかりと行って挑戦する必要があります。

 

2 越境EC立ち上げ前に陥りがちな4つの間違い

「海外に打って出ようかと思っています。取り急ぎ今あるサイトを全部英語にするといくらぐらいかかりますか?集客をお願いできますか?うちの商品は完全なMade in Japan。3代続くしっかりとした技術で国内でも知る人ぞ知る一品なんです。英語にすれば世界中から注文が入ると思います。」

 このパターンは、最も多く弊社に寄せられる質問です。やってやるぞっ!!という感じでやる気に満ち溢れています。もちろんやる気がなければ何も進まないわけですが、過剰な情熱は時に冷静な思考を塵にしてしまうのでちょっと冷静になる必要があります。日本で運用しているサイトをただ外国語にしただけでは、グローバルマーケットでは通用しないのです。

 結局のところ、行き詰まりや成長の鈍化を引き起こす原因は、このスタート時の間違いにあることが多いのです。集客を考える前に、まずは土台作りをしっかりとやりましょう。

2-1ターゲットが曖昧化している

世の中には「英語でサイトを作っておけば、日本に興味がある顧客を大体カバーできます。外国人のほとんどの人が英語で問い合わせをしてくれますよ」という外国人対応に迷う方にピッタリの口説き文句をたまに耳にすることがあります。

この間違った話に基づいて「ターゲットはアメリカ、シンガポール、イギリスなどの英語圏です」としてしまう例があります。

確かに利用人口の多い言語を用いてサイトを作るのは有効な手段です。ですがよく考えてみてください。日本で販売する際に「日本語を話す人」という設定は条件の一つではありますが、ターゲット設定としてはターゲット設定としては不十分ですよね。より詳細なターゲット設定が必要になるのです。

また、よくある間違いが、日本で商品を購入してくれている顧客層をそのままターゲットとしてしまうものです。同じ日本でも関西の志向と、関東の志向は異なります。それはターゲットを取り巻く環境の違いによるものです。

日本向けではしっかりとできていたターゲティングが、海外向けにしたとたん急にあいまいになってしまうのはよくある例です。海外への販売をする場合、ターゲットとなる国を決め、販売対象国ごとにペルソナ(具体的なターゲットイメージ)を作る必要があります。ここを明確にしておかないと、次のステップであるコンテンツの取捨選択も誤ってしまいます。

●ペルソナに組み込む要素
・年齢、世帯規模、性別所得、職業、学歴、等
●対象国選定の際、考慮すべき環境要因
・季候
・販売したい商品の現地でのマーケットサイズ
・サービスの認知度
・人口
・経済状況
・宗教や一般常識などによる規制もしくは高いニーズ

越境ECでのターゲット選定とターゲットイメージの作りこみでは、現状とかけ離れたペルソナを作らないように、現地の情報をつかむ必要があります。

・ターゲット選定に役立つ各国の状況がわかるサイト
ジェトロ「国・地域別情報」

外務省

地球の歩き方

ジェトロ「世界の卸売、小売産業・市場の調べ方」

2-2コンテンツの取捨選択が出来ていない

「とりあえず翻訳だけでどれくらいの金額になりますか?」
ちょっとまった!と言いたくなります。なぜならサイトの内容を翻訳する見積もりを出すだけで、「思ったより高い・・・」となるからです。

翻訳を手軽にできる様々なサービスがありますが、翻訳というのはサイトが大きなほど金額も雪だるま式に高くなります。そして思っている以上にコストがかかるものです。

ここで重要なのはコンテンツ(販売ページも含む)の取捨選択です。選定されたターゲットに対して、どのような価値を提供するべきなのかがわかると、より明確に何を伝え、何を絞る必要があるのかがわかり、予算も作りやすくなります。

とりあえず全商品登録して外国語にしました。というお話もよく聞きますが、ターゲットにマッチしない商品が混ざったサイトは、商品の検索効率などの低下から、販売の成約率が下がったり、ユーザー評価が下がったりするため、注意が必要です。

また、ターゲットによっては、日本語サイトにはない情報が追加で必要になります。この情報も、購買の際に必要になる情報と、購買意欲を押し上げるも情報の2種類があります。

例:日本のお菓子
・気候で影響を受けそうなものを商品ページを省く(高温に弱いチョコレート菓子など)
・日本限定のデザインやシーズン限定商品の特集コンテンツなどの追加
・調理法や食べ方
・配送にかかる期間や関税、海外送金に関する注意
・配送可能地域と不可能地域に関して

2-3.オペレーションの事前準備ができていない

すでに日本での販売サイトが確立された状態で越境ECを始めた場合、システムに合わせた運用をしようとするばかりに、結果としてオペレーションに手間がかかり、サイトがほとんど放置状態になってしまう、というのもよくあります。

・受注管理 = 海外発行のクレジットカードを使われた際の与信確認作業など
・顧客対応 = 外国語での問い合わせ対応やクレーム対応
・サイト制作 = 外国語でのページ制作・更新など
・物流 = 海外出荷用のインボイスの作成、強固な梱包作業など

小規模な取引の際には対応できていたものが、あっという間に対応しきれなくなってしまうということもよくあります。各セクションで実際に発生する作業をざっくりと確認しておき、最初から取り組まない場合でも、将来的にどのように対応していくか、タイムスケジュールを作っておくことをお勧めします。

2-4.ユーザーを考慮した言語選択ができていない

越境ECで必須になるのが言語対応です。ユーザーにしっかりと意図が伝わるサイトを作るには翻訳にも配慮が必要です。最も重要なのはターゲットにあった言語設定がしっかりとされているか、ということです。

ターゲット選定に際して、作ったペルソナを見返してみてください。ターゲットとなる方は、英語を使ったコミュニケーションに慣れているでしょうか。どれくらい、実生活において英語を使う機会がある方でしょうか。

BtoBのサービスや商品を売り込むのであれば、英語圏でない国がターゲットに入っていても、あえて英語のサイトしか用意しないということもありますが、ターゲットの生活をイメージした際、英語を使ったコミュニケーションがしっくりと来ない場合は、ターゲット国のローカル言語が用意されたサイト構築をお勧めします。

日本語ですでに出来上がっているサイトをすべて英語翻訳するよりも、ターゲットとなる国のローカル言語で、ターゲットに合わせた商品をピックアップしてミニマムで制作を始めるほうが、集客力のあるサイトが出来上がるというケースも多くあります。

それ以外にも翻訳において以下のような注意点があります。

・言語の一貫性
カートやサイトの決済ページの利用可能言語が限られている、などの理由から、中国語で商品説明のページが作られているにも関わらず、カートから決済管理画面に進んだとたん、英語の注文フォームが表示されるという例や、商品によって、英語の説明文しかないページと、タイ語と英語の両方の説明文があるという例が見受けられます。LPは各国向けに作っているにもかかわらず、サイトにアクセスすると英語のみという場合もあります。

ユーザーにとって情報が不十分なページは成約率の減少につながります。コストの無駄にもつながりますので、一貫して十分な言語対応ができるよう心がけましょう。

・翻訳の正確性
「Googleの自動翻訳を使っています」という回答もよくいただきます。現状の機械翻訳の精度はまだ完ぺきとはいいがたく、違和感の残る表現や誤った表現が多数出てきます。
ユーザーの心証が悪いだけではなく、顧客とのやり取りでトラブルやクレームの原因となることもあります。
商品量やコンテンツ量を絞ってでも、正しい言語でサイトを表現することをお勧めします。また、日本固有の言葉をそのままローマ字表記の単語として使っている場合があります。日本固有の単語をそのまま使いたい、という要望もよくあるのですが、その際は必ず注釈などを入れてください。

3. その他の事前準備ー越境ECで考慮すべきリスク

越境ECを始める前に考慮すべきリスクがいくつかあります。よく言われるのは関税、決済、法律ですが、そのほかにも配送時のリスクや顧客対応に関するリスクもあります。

まずは試しに海外のサイトから購入をしてどのような注意をしているか確認をしてみたり、海外にいる方に商品を販売してみて問題がなかったかなどを検証することをお勧めします。

また、ebayなど、海外向けの販売のプラットフォームを提供している会社が用意している安全への取り組みやトラブルの回避法などのアドバイスページでもリスクを事前に知ることができます。

Ebayの取り組み

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3-1 関税

日本での販売ではあまり意識しないのが関税です。関税は購入するユーザーのいる国ごとに額が異なるため、注意が必要です。

日本では革靴の輸入に30%の関税がかかります。また国によって50%以上の関税率を設定し、関税障壁をもって輸入量を制限しているものもあります。事前にそれらを把握し、それらを含めた商品金額がターゲットユーザにマッチするのかどうかを考慮する必要があります。

また、サイトでは事前にエンドユーザーに関税がかかることを説明しておく必要があります。これが十分にできていないと、エンドユーザーによる受け取り拒否やクレーム発生の原因となります。

自分のメイン商品がターゲット国では高い関税をしはらう必要のある商品だった、というのが後になってわかったということがないよう、調査をしておきましょう。

世界各国の関税率
 

3-2 決済

国によって特によく使われる決済方法が異なります。特にターゲットの国によってはクレジットカード会社から取引を避けるようアドバイスされる国もあります。クレジットカードの偽造などによる詐欺注文のリスク管理が必要になります。

また、それ以外にもターゲットとなる国でのクレジットカード与信枠の一般的な上限をリサーチしたり、メジャーな決済手段を確認してその管理の手間がかからないかどうかを事前に把握することもお勧めします。

3-3 法律

理美容、化粧品、食料品など、様々な品が、各国でそれぞれに独自の法律を持っています。特定の国では簡単に輸出できるものが、他の国では煩雑な手続きの申請や、ライセンスの取得が必要ということもよくあります。

知らずに輸出することで不要なペナルティを受けることがないよう、事前に確認をしておく必要があります。

4. 越境ECの助成金など新規立ち上げのサポートを使おう

冒頭にもあったように、EC市場の拡大に合わせて、越境ECの市場も拡大をしています。一般企業の関心だけではなく、行政からの関心も高く、地方自治体や経産省関連など、様々な団体が市場拡大のための様々な支援をしています。越境ECを始めるに際してこれらの支援や助成金などを利用するのも有効な手段です。

ーーー探してみるーーー
・独立行政法人 中小企業基盤整備機構の助成金検索システム

tyusyo
ーーー支援の例ーーー
中小企業越境ECマーケティング支援事業に係る補助金
実施:中小企業庁
海外への販売強化により国内経済の活性化を図るため、環太平洋パートナーシップ協定交渉参加国を対象に越境ECサイトを出店または構築する際の経費の一部に対して最大100万円の補助金が出る制度。
※補助金制度の申し込みは制度ごとに申し込みの締め切り等があります。


いかがだったでしょうか。越境ECで失敗しがちなよくある例を挙げてみました。これらは、弊社に持ち込まれるお客様からのご相談から特に注意してもらいたい点としてピックアップした内容です。

これから越境ECを始める方に見直していただきたい部分を取り上げましたが、現在越境ECの展開をしていて、行き詰っている方。問題点が多く、どれが優先して解決すべきかわからなくなってしまっているという方にも、改めて見直す点としてチェックしていただければと思います。

今回取り上げたいくつかの問題をチェックリストにして、一つ一つ改善をしてもらえればと思います。

ここをチェック!
1.ターゲットを特定のお得意さんを語るのと同じくらい明確にイメージできますか?
2.サイトを訪れる人が必要な情報が整理できていますか?
3.質問、受注、決済、発送、お届け後の対応の流れが実際の業務としてイメージできていますか?
4.必要な情報を正しい言語で伝えられていますか?

 

この記事を書いた人

橋本直矢
1979年生まれ。大手通販会社に飛び込み商品企画、流通等について学び、その後輸入商社にてECに10年携わる。10か国以上を飛び回り、メンズファッション、レディスファッションのECセクションの統括として、商品企画、販売企画、流通、ウェブマーケティングに携わりました。

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