ムスリムの観光客は年々増えているものの、受け入れる側の体制が追いついていないのが現状です。ハラールを考慮した料理を準備できているレストランは非常に少ないままで、どこで食事をすれば問題ないのかわからずに困っているイスラム圏からの観光客が多いのではないでしょうか。
各自治体や官公庁、観光振興協会などがムスリム受け入れのためのガイドブックや資料を作成していますので、まとめてみました。
受け入れ体制を整えることを検討しているレストランやホテルや自治体の皆さんの参考になればうれしいです。少しでもムスリムを歓迎する観光地が増えるといいなと考えています。
豚肉やお酒がダメというくらいしかイスラム教について知らない場合でも、以下に順番に目を通していけば最低限の知識がつくでしょう。
ハラール認証を検討するまでには至っていないけれども、まずどんな対応をしたらよいのか把握したいという方はぜひ読んでみてください。
いくつか図表をキャプチャして紹介していますが、サイズの都合で見づらい部分も多いかと思います。
リンク先を紹介する意図で書いていますので、リンク先にアクセスして確認してください。
目次
ムスリム旅行者おもてなしハンドブック 日本とイスラムをつなぐための3つのこと
東京都が作成した訪日観光客のためのウェブサイトGO TOKYOに掲載されているのが「ムスリム旅行者おもてなしハンドブック」です。
http://gotokyo.org/jp/administration/h26/documents/msrim.pdf (PDFです)
まず基本情報として、世界のムスリム人口分布や、イスラム圏の東南アジア各国の訪日数の推移などがまとめられています。
その次に、ハラール、ハラームそれぞれについての解説があります。東京都内でのムスリムのための食への取り組みをしている企業やレストランがどういった取り組みをしているかの事例が紹介されています。
礼拝についても、時間やメッカの方角であるキブラ、礼拝前に行うウドゥ(お清め)、下に引くマット、男女別々であることなど知っておくべきことが説明されています。
礼拝用絨毯やメッカの方角を示すコンパスの貸し出しをするなど宿泊施設の実施例もあります。
東京都内のマスジド(礼拝所)が一覧になった地図もあります。
最後にムスリムの習慣、マナー、受け入れ側のよくある疑問についてまとめられています。
ムスリムおもてなしガイドブック ムスリム旅行者受入環境の向上を目指して
観光庁によるムスリム受け入れのためのガイドブックです。
まずなぜイスラム圏の観光客が増えているのかその理由をビザやLCCの普及などから説明しています。
ムスリム旅行者のニーズ、不便や不満に感じている点などがまとまっています。
飲食店、宿泊施設等向けに「ムスリムおもてなしガイドブック」を作成しました!~ムスリム旅行者が安心して快適に滞在できる環境整備の促進を図ります~ | 2015年 | 報道発表 | 報道・会見 | 観光庁
食のムスリム対応のチェックシートはこれから対応を進めるレストランやホテルに便利です。
札幌市、横浜市、白馬五竜観光協会、伊勢鳥羽志摩インバウンド協議会のWebサイト制作やSNS運用の事例が掲載されています。
付録編に含まれているムスリム対応の記載例が参考になります。食、食材、礼拝など状況別の説明文が参考としてまとまっていますので、ほぼそのまま使えるものもあると思います。
JHAスタンダード ムスリムフレンドリー接遇
NPO法人日本ハラール協会が、世界のハラール基準を拡張する目的で設立されたマレーシアのNGO団体 IHI Alliance (International Halal Integrity Alliance) のハラール基準を元にして制作したものです。
ムスリム関連の用語がひと通り解説されているので、これからムスリムについて学習しようという人に向いています。
シャリア(イスラーム法)、ハラール(シャリアで許されているもの)、ハラーム(非ハラール)、シュブハ(ハラールか疑わしいもの)、ナジス(不浄なもの)、ラマダーン(断食月)、サウム/シアム(断食)、スフル(断食前の食事)、イフタール(断食明けに取る食事)、キブラ(メッカの方角)、ムサッラー(礼拝所)、ウドゥ(洗浄の場所)などのイスラム教に関連した用語がひと通りまとまっています。
敷地、礼拝所、ウドゥ、トイレ、健康施設、ダイニングエリアなどの場所ごとに具体的にどういった準備をしておけばよいかも説明されています。
http://www.jhalal.com/wp-content/uploads/2cb61e09f07cf1322d22aa4b9c6372f5.pdf (PDFです)
ASEAN ムスリム観光客おもてなしハンドブック
公益社団法人 日本観光振興協会によって2014年3月に作成された資料です。ASEANのマーケット特性や国別のムスリムの人口などがまとまっています。
http://www.nihon-kankou.or.jp/home/committees/report/event/20141104.pdf (PDFです)
ムスリム観光客受け入れのために
国際機関日本アセアンセンターによる資料です。一部前述の日本観光振興協会の資料と重複している内容があります。
ASEAN-JAPAN CENTRE ムスリム観光客受け入れのために
OKINAWAムスリム旅行者おもてなしハンドブック
沖縄県と一般財団法人沖縄観光コンベンションビューローによって作成された資料です。
那覇空港、沖縄都ホテル、沖縄ハラール協議会、沖縄国際センター(JICA沖縄)など沖縄県内の受け入れ体制の事例がまとまっています。
OKINAWAムスリム旅行者おもてなしハンドブック | 沖縄インバウンド.net
インドネシア、マレーシア、タイ、シンガポールの東南アジア4ヶ国からの沖縄への来客数の推移をまとまっています。
ムスリム向けのメニューで活用できそうなピクトグラムの例が紹介されています。
ムスリムおもてなしガイド
北海道観光振興機構による資料です。
食事や礼拝や接客などに関する基本的なことがまとめられています。また、札幌マスジド、小樽マスジド、新千歳空港、千歳アウトレットモール・レラなどの北海道内の礼拝所がある場所が紹介されています。
資料・統計 | 組織情報 | 北海道ぐるり旅 – 北海道公式観光情報サイト
ムスリム観光客 接遇基礎知識集
大阪商工会議所の流通活性化委員会による資料です。
2012年のデータではあるのですが、マレーシアとインドネシアの訪日客の性別、年齢層別の比率や、主な訪日動機や関心事項がまとまっています。
http://www.osaka.cci.or.jp/inbound/know_how/pdf/msrm_osk.pdf(PDFです)
マレーシアとインドネシアの人たちが買いたいと思っている人気商品の購入率ランキングが参考になります。
ムスリム旅行者受入の心得
国土交通省 昇龍道プロジェクト推進協議会が制作したものです。
https://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/kisya014/kikaku20140528.pdf(PDFです)
ムスリムとのコミュニケーションのための基本的な挨拶がまとまっていました。
まとめ
ムスリムおもてなしのための様々な資料を紹介しました。
完璧なハラール対応は難しいというホテルやレストランの方も、上記のような資料を参考にして、一部でもできることがないかを探してみてはいかがでしょうか。
すべての人の信仰が同じではないことに注意しましょう。それぞれの人のニーズにあわせたサービスを提供できるのが理想的です。
たとえば肉を食べるときに豚肉以外であればプロセスを気にせず食べていいという人もいれば、ハラールの手順に沿って屠殺されていない肉でないと食べられないという厳格な人もいるでしょう。
他にもこんな資料があるよというものがありましたら追記しますので、教えていただけるとうれしいです。
以下の記事もあわせてご覧ください。
世界人口の1/4!「ハラール」を知ってイスラム教徒(ムスリム)の観光客を集客しよう
この記事を書いた人
-
1985年生まれ。2007年早稲田大学理工学部経営システム工学科卒業。
2008年サイトエンジン株式会社を設立しました。
学生時代にSEOを販売する代理店でテレアポと営業のアルバイトを始めたところからデジタルマーケティングの仕事に携わり続けています。
オウンドメディアの構築時の戦略立案や運用などを担当しています。
サイトエンジンではコンテンツマーケティングを中心に新規のリードを獲得し続け、累計800社以上とお取引させていただいています。
この人が書いた他の記事
- NEWS2020.05.11YouTubeチャンネルと別ブログのご案内
- コンテンツマーケティング2018.07.31正解がなくて答えに困るオウンドメディアの立ち上げでよくある質問
- コンテンツマーケティング2018.06.25関連記事リンク設定で直帰率と平均PVを改善。SEOにも効果あり
- コンテンツマーケティング2018.06.12記事広告の無駄打ちを防ぐ!メリットを活かす書き方