世界人口の1/4!「ハラール」を知ってイスラム教徒(ムスリム)の観光客を集客しよう

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イスラム観光客

近年、駅や観光地で、スカーフ(ヒジャブといいます)を頭につけたイスラム教徒(ムスリム)の女性を見かけることが増えてきました。
日本ではこれまでイスラム教徒向けのサービスはあまりなじみがありませんでしたが、実は大きな市場となる可能性を持っています。
飲食業もサービス業も「ハラール」を知り、イスラム観光客市場へ乗り出しましょう!

爆買いイスラム観光客という新興市場!

2010年時点で、イスラム教徒は約16億人で世界人口の23.2%を占めています。イスラム教徒が住む地域の出生率が高いことを考えると、今後、イスラム教徒の人口と割合はますます増加し、影響力も大きなものになっていくでしょう。中でも、東南アジアや東アジアにはイスラム教徒の65.9%が集中。インドネシアは世界最大のイスラム教国で、マレーシアはイスラム教を国教としています。そのインドネシアとマレーシアからの訪日観光客が、2013年には前年比約35%もの増加を見せました。消費税の免税金額から見る彼らの購買力も、大きく増加しています。

また、ムスリムの人口は世界の宗教の中でも最も早いペースで拡大しています。
米調査機関ピュー・リサーチ・センターによると、イスラム教は2100年には世界で最大勢力の宗教になる見込みとされています。
イスラム教徒が住む地域の出生率が高いために、伸び率がキリスト教やヒンズー教とくらべても大きいという予測になっています。現在は世界最大のイスラム教国はインドネシアですが、人数では人口の多いインドが最大になる見込みです。人口が増えれば訪日旅行に来る人も増えていくでしょう。特にマレーシアとインドネシアは距離が近いこともあって、今後もビザの緩和などを追い風に伸び続けると考えられます。

特にインドネシアは人口が2.5億人いて、2位のフィリピンの9,900万人とくらべても2倍以上人口がいます。
東南アジアの国の中でもダントツで人が多いため、今後成長していくのは確実でしょう。現状はタイやマレーシアのほうが訪日数が多いのですが、数年で抜くと考えられます。

ASEANの人口ランキング
ASEAN国別人口

ASEANの人口ランキング – 世界経済のネタ帳より引用

このように日本国内のムスリム向けの市場は非常に大きくなることがわかっているにもかかわらず、日本ではこれまでイスラム教徒になじみが薄く、イスラム教徒を意識したビジネスをあまりしてきていないのが事実です。

存在感を増すイスラム観光客に応えるサービスや商品を打ち出すことで、伸びしろの大きな市場に乗り出すことができると言えるでしょう。 そのカギとなるのが、「ハラール」です。

爆買いイスラム観光客

イスラム生活ガイドライン「ハラール」で認証を受ける

ハラールというと、食べ物の決まりをイメージする人が多いかもしれません。しかし、実はイスラムの教えであるシャリア法とイスラム原理で許された健全な商品や活動全般を意味します。 ハラールとは、生活のガイドラインであり、イスラム教徒にとっては無くてはならない規準なのです。
イスラム教の唯一神アッラーが創造したものは、いくつかの例外を除き、ハラールであるとされています。

ハラールの反対は「ノン・ハラール」あるいは 「ハラム」と呼ばれ、有害な物、中毒性のある物を意味しています。現代の医学的な判断とは違うものもありますが、ハラムに定められるものは、それが不浄であり害だからだとされています。有名なのは、豚肉、血液、お酒です。ほかに、シャリア法に則って食肉処理されていないものや、 ワニ、亀、蛙など水陸両用の動物、賭博などが挙げられます。

ここで注意が必要なのは、ハラムとされるものは主要な食材としないだけでなく、出汁や調味料としてわずかに入ってもいけないということです。また、イスラム教では偶像崇拝を禁じているので、パッケージデザインに天使などが描かれていないか、といった視点も必要です。

商品やサービスがハラールに適っているかを判断し、それをイスラム観光客に伝えるには、ハラール認証を受けることをお勧めします。ハラールはイスラム圏の中でも多少違いがあり、世界各国には、ハラール認証機関が多くあります。日本国内にもハラール認証団体が複数存在します。 かかる料金体系も各認証団体によりさまざまです。

ハラール認証取得やイスラム礼拝室を新設する動き続々

すでにイスラム教とハラールを知り、イスラム観光客向けのビジネスに乗り出している企業や団体もあります。

JA常陸は今年、生産している米やアイスクリームなどについてハラール認証を取得しました。

アイスクリームは牛乳の代わりに豆乳を使用し、使用している米を栽培する際にも豚由来の肥料を使用していません。東京五輪で訪日するイスラム観光客へのPRのほか、輸出による販路拡大も視野に入れているといいます。

一方、プレミアムアウトレット御殿場やSCイオンモール幕張新都心では2013年、イスラム教徒のために礼拝室を設けました。一日5回の礼拝を行うイスラム教徒の習慣に配慮したもので、空港やターミナル駅のほか、商業施設でも礼拝室を設ける動きが続いています。

日本が得意とする相手に合わせた細やかなサービスでイスラム観光客に喜んでもらえれば、ビジネスチャンス拡大につながり、彼らの国とのきずなも強まるのではないでしょうか。

ハラール対応している飲食店や宿泊施設が少ないうちがチャンス?

ハラール対応している飲食店や宿泊施設を探すサイトが日本にもいくつかあるのですが、いずれのサイトを見ても対応しているところが非常に少ないことがわかります。
もちろんサイトに登録されているのは世の中にあるハラール対応のお店の一部だけで、実際にはもっとあるはずですが、少ないのは事実です。

Japan Muslim Guide

Halal In Japan

京都ハラールガイド

店舗リスト of ハラール in Kyoto

逆にいうと競争が少ないということなので、きちんとハラール対応をして、上記のようなハラール施設を紹介しているサイトでアピールすることができれば、集客しやすい状態と言えます。

ハラール認証とは?日本国内のハラール認証機関

ハラール認証とは、製品が「イスラム法の定める適正な方法で処理、加工された」と第三者機関に証明してもらうものです。原材料、製造工程、製品品質などをハラール証明の取得手続きを代行してくれるハラール認証機関に審査してもらい、イスラム法上適合製品であることが承認された製品のみに表示することができます。食品そのものだけではなく、加工する施設や物流の過程などでも基準を満たしていなくてはいけません。

日本国内にもハラール証明の取得手続きを行っている認証代行機関が複数存在しています。株式会社、NPO法人、宗教法人など、さまざまな組織形態で数十もの認証機関があります。

現状で日本国内で統一された基準がない状態ですので、何をもってハラール認証とみなすのかは認証機関によって異なっていて、認証団体によって費用や認証取得までのプロセスにばらつきがあるようです。

ハラール認証を取得するときに注意すべき点としては、インバウンドとアウトバウンドの場合で申請すべき機関が違うということです。インバウンドつまり日本国内のムスリムに向けた商品やサービスの場合は日本の認証機関でよいのですが、アウトバウンドつまり輸出や海外での製造、商品販売などの場合には、販売する先の国ごとのハラール認証が必要となります。

アウトバウンド(外需)のハラール認証

ジェトロのページにマレーシア、インドネシア、シンガポール、アラブ首長国連邦(UAE)のハラール認証機関がそれぞれまとまっています。
ハラール証明の取得手続き | 貿易・投資相談Q&A – 国・地域別に見る – ジェトロ

海外のハラール認証は審査が厳しい傾向にあるようです。マレーシアは国策としてハラール認証の仕組みを進めていて、政府公式の機関としてマレーシア連邦政府イスラーム開発局(Jabatan Kemajuan Islam Malaysia :JAKIM)を設立しています。日本のメーカーを中心とした大企業がJAKIMの認証取得をしていますが、かなり細かい項目まで審査されて大変なようです。

Department of Islamic Development Malaysia | Welcome to JAKIM

インドネシアも独自の機関があります。
LPPOM MUI

インバウンド(内需)のハラール認証

日本国内では厳密な意味でのハラールの基準をクリアすることが難しいために、日本独自のハラール認証の方法が複数考案されています。

他の国でもハラールの基準がそれぞれ異なっており、各国がローカライズして独自の基準を持って運用されています。

また、京都ハラール協議会では、ハラール推進のためのカテゴリーを以下のように分類して設定しています。

ホテルに対してムスリム・フレンドリー、ムスリム・ウェルカム、レストランなどの飲食店に対してハラール、ムスリム・フレンドリー、ムスリム・ウェルカム、ポークフリーなどを出しています。
これらはある施設や環境が部分的にハラール基準を満たしている場合に、取り組みの段階に応じて独自の認証を与えるというような内容です。

日本国内でハラールへの取り組みをしている組織をいくつか紹介します。

MHC株式会社|マレーシア ハラル コーポレーション
=TOP= of 京都ハラール協議会
宗教法人日本ムスリム協会
宗教法人 日本イスラム文化センター / マスジド大塚

まとめ

5年後、10年後を考えるとインドネシア人の観光客が増えるのは確実で、その影響力は年々大きくなっていくでしょう。近年のインバウンド観光の盛り上がりでは、中国、台湾、韓国、タイなどからの訪日観光客が注目されることが多いですが、伸びしろの大きさでいえばインドネシアは注目に値します。中国以外の3つの国からの観光客数はいずれ抜く可能性が高いのではないでしょうか。

イスラム教徒(ムスリム)の人たちへの対応の準備をしておくことで、より多くの人に訪れてもらうことができるようになると思います。各ハラール認証機関に相談するなどしてどういった対応ができるかを検討されてみてはいかがでしょうか。

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