弊社ではよくウェブサイトの翻訳や新規多言語サイトの構築の仕事をしています。
訪日外国人観光客を集客したい、海外の現地マーケットで自社の商品やサービスを売りたい、海外にあたらしく飲食店や小売店を作ったので来訪を増やしたいなどの様々なご要望でホームページを複数の外国語で作成します。
いままでサイトを翻訳したり、複数の外国語で制作するときに発生した失敗例をたくさん見てきているので、参考にまでに注意点をまとめてみました。
多言語対応をコストを抑えて効率的に進めるためにも参考にしてください。
目次
1.いきなりすべてのページを翻訳しようとしない
100ページを超えるような規模のホームページの場合、いきなりすべてのページを翻訳するのではなく、一部だけ対応することをおすすめしています。
膨大な費用をかけていくつもの言語に翻訳したものの、まったく読まれていないページだらけになってしまっては、お金も時間も無駄になります。
そのため、まずは特にアクセスの多いページや重要と思われるページなどに限定して翻訳しましょう。
少ないページ数を多言語化して、そのページにどれだけアクセスが集まっているか、どれだけ予約、購入、申し込みなどのビジネスの成果に結びついているのかを確認します。一部のページの多言語化の結果で費用対効果を確認してから翻訳するページの数を増やしていくほうがリスクが小さいです。
2.言語ファイルは別で作成して、HTMLに直接記入しない
全部の言語のサイトのHTMLに直接翻訳文を1つ1つ入れていると、膨大な時間が無駄になります。
訳文を管理するファイルを別に用意して、そのファイルだけで訳文を管理するのが望ましいです。
非常に煩雑になりますから最初ある程度手間がかかったとしても、言語ごとの訳文ファイルを別で用意して、それらを書き換えるだけでサイトに反映されるようにしましょう。
最近は多言語化専用のCMS(簡単に言語ごとのページを作成・管理できるシステム)も出てきています。コストとメリットをあわせて確認して、既存の多言語化用のシステムやツールを導入することを検討してみてはいかがでしょうか。
3.テンプレート化して同じ文言を何度も翻訳することを防ぐ
メニューの部分や多くのページで共通した説明部分など、同じ内容で2回翻訳する必要がない部分は区別してわかるようにしておきましょう。
一番最初に翻訳対象となる文章をきちんと整理しておかないと、重複作業が発生して無駄なコストがかかります。
システムでテンプレートを作成できるようにしておき、テンプレートを挿入した箇所には自動的に同じ訳文が表示されるようにしておくと便利です。
たとえば以下はサイトエンジンのホームページですが、上部(ヘッダー)のメニューは全ページで共通となっていますので、一度翻訳すればそれを使いまわすことができます。
こういったメニューなどはわかりやすいのですが、ページ途中の文章の中に同じ文が何度も使われていることがあり、気がつかないうちに2回別の人が翻訳してしまったりすることがあります。ホームページ全体を1人が翻訳していれば簡単に気がつくことができますが、複数名で作業していると無駄な工数が発生します。具体的に例をあげますと、ネットショップの送料、決済方法、お届けまでの日数などの箇所です。
4.文字の長さが変わった場合のガイドラインをつくる
日本語は漢字があることもあって、少ない文字数に意味を詰め込みやすい言語です。そのため、翻訳すると多くの言語で文字数が多くなります。
見出しやバナーで文字数が変わることで幅に収まらなくなることがあります。
そのときにどうするのか対応方法を決めておきましょう。
- 改行する
- 文字サイズを小さくする
- 直訳ではなく意訳にして、文字数に収まりそうな表現に変更する
- 見出しの幅、画像の幅などを変更する
もちろん都度判断する形式でも問題ないのですが、規模が大きなプロジェクトになってくると最初から指針となるルールがあったほうが望ましいです。
5.ホームページアドレスは言語ごとに分ける
1つのアドレスにまとめてしまって、言語切り替えのリンクでホームページのアドレスを変えずに言語を切り替える構成にすると集客しづらいホームページになってしまいます。
具体的には、Googleなどの検索エンジンの検索結果に、1つの言語でしかヒットしなくなります。たとえば英語のホームページをメインとして設定していて、中国語や韓国語を同じアドレスで切り替えるようにした場合、英語で検索した人しかサイトに訪問しない状態になってしまいます。検索エンジン経由では英語圏の見込み客しか集客できないということです。これは非常に大きな機会損失となります。
そのため、各言語にそれぞれ独自のホームページアドレスを用意してください。
以下は、ホームページのアドレス設定の例です。言語ごとにディレクトリ(フォルダ)を設定して、それぞれのアドレスで各言語のページにアクセスできるようにします。
サイトの規模が大きくなればなるほど、ホームページアドレスの構造は重要になってきます。
1つのアドレスに統一してしまっても、システムを修正すればあとから変更することもできます。ただし、変更にはかなりの手間がかかります。
また、検索エンジンは長く同じアドレスで運営しているホームページを評価する傾向にありますので、集客の点でデメリットがあります。最初から言語ごとにアドレスを用意することが望ましいです。
多言語サイトの集客については以下の記事をあわせて参考にしてください。
グローバルSEOで失敗しないための多言語サイト構築の注意点まとめ
6.機械翻訳を使わない
機械翻訳は精度が十分でないものが多く、訪問した読み手に不自然なホームページだと思われてしまう可能性が高まります。ホームページの信頼性が落ちて、サイトの目的である購入やお問い合わせの獲得に至る人の率が下がってしまいます。また、意味不明な訳文が多数ならんでいるホームページでは、ブランドイメージを損なうおそれもあります。
また、Googleなどの検索エンジンは不自然な文章が掲載されているホームページ全体の評価を下げる傾向にあります。そのため、不自然な訳文のページが大量に生成されてしまうと、日本語のページのアクセスまで下がってしまう可能性があります。
上記のような理由から、手動で翻訳するほうが望ましいです。
どうしても使わざるをえないときには、Googleなどの検索エンジンに見せないように設定してください。具体的にはホームページ内に以下のような文言を設定する必要があります。
meta name=”robots” content=”noindex,nofollow”
設定の仕方はGoogleの公式ページを参照してください。
メタタグを使用して検索インデックス登録をブロックする – Search Console ヘルプ
すべてを翻訳するのがコスト面で難しいということであれば、すべてのページを機械翻訳にかけて解決しようとするのではなく、翻訳するページとしないページの仕分けをして、予算の範囲内で一部のページだけを翻訳するほうがよいです。
まとめ
インバウンド観光の急激な伸びで外国語のホームページ制作は必須のものと言えるようになってきました。
これから複数の言語にホームページを対応させていく皆さんにおすすめしたいのが、どういった手順でサイトを変更していくのがかかる手間が少なく、短い時間で終わるかを最初にしっかりと時間をかけて考えて、計画に落としこむことです。
外注する場合でも、社内で翻訳してホームページに適用させていく場合でも、コストを下げるためには最初の計画が大事です。作業に抜け漏れがないかを網羅的に確認して、手戻りがないような作業の進め方をしましょう。
たとえば翻訳が終わってから、元となる日本語の原稿を大きく変更する必要が生じたりすると大変なことになります。そんなことは自社ではありえないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、作業がほぼ終わりそうなタイミングになってから、やっぱり国別に伝え方を変えたいとか、別のコンテンツを用意したいとかは起こりがちな要望です。
この記事を書いた人
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1985年生まれ。2007年早稲田大学理工学部経営システム工学科卒業。
2008年サイトエンジン株式会社を設立しました。
学生時代にSEOを販売する代理店でテレアポと営業のアルバイトを始めたところからデジタルマーケティングの仕事に携わり続けています。
オウンドメディアの構築時の戦略立案や運用などを担当しています。
サイトエンジンではコンテンツマーケティングを中心に新規のリードを獲得し続け、累計800社以上とお取引させていただいています。
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