ジョーピュリッジさんの講演「コンテンツマーケティングの未来」レポート

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コンテンツマーケティングの第一人者であるCMI: Content Marketing Instituteジョーピュリッジさんの講演を聞いてきたので内容をレポートします。

こちらのイベントです。同時通訳付きのスカイプ経由のセミナーでした。
TFM マーケティング・テクノロジーフェア 2017

ちなみに講演は録音や撮影は禁止とのことだったので、セミナーのスライドの画像などは一切ありません。
CMIのウェブサイトの該当のページを探してリンクをしています。

以下はメモです。

コンテンツが膨大にあるので、誰も興味をもってくれなくて当たり前。

独自の驚くべき情報を作成して配布し、オーディエンスを築く。

コンテンツマーケティングはほとんどの企業が始めたばかり。
洗練されているといっていいレベルに到達しているのは1桁パーセントの企業だけ。

http://contentmarketinginstitute.com/wp-content/uploads/2016/09/2017_B2B_Research_FINAL.pdf
こちらの資料の7ページの以下の部分です。
sphisticated
mature
adolescent
young
first steps

コンテンツマーケティングは開始した企業のうち30%しか成功しない。

なぜコンテンツマーケティングは失敗するのか

失敗の理由として以下を挙げていました。

まず、短期間のキャンペーンのように考えてしまう企業は失敗するそうです。
コンテンツマーケティングはスプリントではなくマラソンです。長期間継続して取り組まないと失敗します。

また、自分の製品とサービスのことだけをコンテンツにするのは駄目で、自社の紹介ばかりしていたのでは無視されてしまいます。

また、ほとんどのブランドは明確に文書化されたコンテンツマーケティング戦略がなく、ただ単にたくさんのコンテンツをアップしていっているだけになっています。
継続的に追う成果を測るための指標がないと、失敗します。

コンテンツマーケティング成功のための6ステップ

コンテンツマーケティングが上手くいっている会社の業務をリバースエンジニアリングすると以下のようなプロセスがあることがわかる。

1. sweet spot
2. content tilt
3. building the base
4. harvesting audience
5. diversification
6. monetization

1. Sweet Spot

自社が得意な知識・スキルがあるところと、顧客が問題に感じていること、求めている情報が重なりあう箇所がSweet Spotにあたります。

他の会社より自社が優れているところはどこで、自社の顧客が苦労しているところはなんなのかを知り、それが重なる部分のコンテンツを作ります。

例として、The Furrowというメディアが紹介されていました。

John Deereという農機具販売会社が作った1985年に作ったこのメディアは、現在では農業に関連した最大のメディアになっている。
自分たちのサービスではなくて、小規模農家がどうしたら成果をあげられるかをまとめた雑誌。
いまはデジタルになっていて、購読者は150万で世界中にいる。

自社の農業技術という強みと、農家の農場での課題の
2つが交差するところでコンテンツを作った。

2. content tilt

tiltとは、ひねりのことです。
Sweet Spotにあたるコンテンツでも、他社が似たようなコンテンツをたくさんあれば埋もれてしまいます。

同じようなコンテンツが大量にある中でどう目立つのか、どうひねりを加えて抜きん出るのかを考えなくてはいけません。

例として、Ann ReardonさんのHow to cook thatが挙げられていました。
2012年1月の時点で100人のYouTubeのチャンネル登録者しかいなかったメディアですが、2016年4月時点では250万人、現時点では300万人を超えた人が登録しています。

目立つために、Giant Snickers Recipeという5パウンドもの巨大なケーキのレシピや、
インスタグラムのロゴデザインっぽくケーキをつくるレシピなどを投稿していったことで、
話題になり登録者が増えていきました。

料理が得意な人が料理の動画を配信するというのは切り口としてありきたりすぎるので、
そこに少しひねりを加えることで目立てるようになりました。

3.building the base

コンテンツを作成するときの指針となる
コンテンツマーケティングのミッションステートメントを作成します。

Indium corp.という産業機器を作っているメーカーが例として挙げられていました。

多くの人が退屈しそうなハンダ付けのための機器に関するメディアですが、
ターゲットとしているオーディエンスにとってはとても参考になる内容になっています。

indiumではエンジニアを対象とした70ものブログを書いていて、
産業向けハンダ付けのメディアとしては1位になっています。

この会社のミッションステートメントは
“help engineers answer the most challenging industrial solder questions”
で、エンジニアにフォーカスしてはんだ付けの質問への解決策となるようなコンテンツを提供しています。

ミッションステートメントを作成するときには、以下を含めるようにします。

1. core target audience 絞り込まれたコアターゲット
2. what will be delivered 提供するコンテンツ
3. the outcome for the audicence オーディエンスにとってどんな結果をもたらすか

どんなコンテンツでも決めたミッションステートメントに沿うようにします。

そして、baseを作るために、以下を実施します。

1つのコンテンツタイプ(オーディオ、ビデオ、テキスト)を、
メインプラットフォーム(ブログ、Youtube、iTunesなどいずれか1つ)で、
長期間にわたって一貫して配信する。(例:週1回、同じ曜日、同じ時間に出す)

最初から露出できるところ全部でコンテンツを届けようとするのは間違いで、
まずは基盤となるようなメディアをつくって信頼を得るのが大切。

4. harvesting audience

基盤をつくったら、その基盤からオーディエンスの情報を取得していきます。

メールアドレスを登録してもらったり、ソーシャルメディアでフォローしてもらったりします。
以下の順番で重要です。(※注 これはアメリカの例ですので日本ではLinkedInは。)

email メルマガ
print subscriber 印刷物の購読
Likedin 
Twitter
iTunes
medium / tumblr / instagram / pinterest
YouTube
Facebook fans

メールは終わったものと思っている人は間違いで、メールが最も良い。
ソーシャルメディアよりも優先すべき。
ソーシャルメディアは運営者の都合でコンテンツが届かなくなったりするが、メールであれば必ず届けられる。

ある投資会社は、印刷物をトレーダー向けに2年間配布している。
この印刷物を購読している人は、していない人とくらべて5倍も多く
トレーディングを行っていることがわかった。

以下に図解されています。ただ、本日の講演内容とはメディアの優先順位が異なるようです。
Harvesting Audience

オーディエンスの情報を集めるには以下の2つが欠かせない。

1.すばらしいニュースレター Amazing e-newsletter
2.価値の交換 Exchange of value (Ebook, Research report, etc…)

5. diversification

1つのプラットフォームを成長させて基盤をつくったら、コンテンツを配信するプラットフォームを多様化していく。
良い顧客を調査すると3つ以上の経路で情報を取得してくれているのがわかった。
メルマガ、印刷媒体、YouTubeなど組み合わせで3つ以上という意味。

Content Marketing Instituteでは、3年間はブログだけに特化して、テキストコンテンツを毎日配信していた。
基盤ができてから雑誌、イベント、ポッドキャストなどに拡散していった。

6. monetization

メールアドレスなどを取得済みのメルマガ購読者と非購読者の違いを確認する。
どれくらい1人あたりの売上が違うか、どれくらいサービスの継続率が違うかなど

以下のような方法でマネタイズしていく。

  • 広告
  • イベント
  • より多くの製品を販売
  • 費用削減
  • ロイヤルカスタマー
  • 有料定期購読
  • 参考データを収集

ここで紹介した6ステップは以下の資料にまとまっているようです。
http://contentmarketinginstitute.com/6-steps-building-content-inc-empire/

メディアを買収する方法も

6つのステップに従ってプロットフォームを構築するのは時間がかかり、難しい作業。

すでに運営されているものを買う方法もある。
小さい企業であってもこうした活動を行っている。

adoramaという写真家向けの装置を販売している会社が、JPG magazineという
30万人以上の写真家が登録しているサイトを買収した事例が紹介されていた。

流れのまとめ

お客様とつながっていくのが今まで以上に重要になってきている。
広告は減って、ダイレクトにコミュニケーションをとるのが増える。

メディア企業らしく振る舞う。
ただ単に多くのコンテンツをいろいろなチャネルに流すのではなく、
戦略を考えつつ適切にコンテンツを作っていく。

  • 競合の少ないニッチを見つける
  • コンテンツミッションを開発する
  • 1つのコンテンツタイプ、プラットフォームに特化して、継続する
  • ソーシャルメディアに注意を払う
  • Eメールの購読者を増やす
  • ニュースレターをつくって、魅力的なダウンロードコンテンツを用意
  • 多様化させる
  • ROIを上げていく
  • 購読者は他のユーザーと何が違うのかを観察する

最後に、追加の情報源として動画を案内して終了。
Content Marketing Movie

まとめ

コンテンツマーケティングの第一人者であるジョーピュリッジさんの話だけあって非常に参考になりました。

これから実施する人はCMI: Content Marketing Instituteのサイトやブログを参考にすると良いと思います。

ジョーピュリッジさんの書いた「エピック・コンテンツマーケティング 顧客を呼び込む最強コンテンツの教科書」という本もすごくオススメなので、興味のある方はあわせて参考にしてください。

この記事を書いた人

毛塚智彦
毛塚智彦代表取締役 社長
1985年生まれ。2007年早稲田大学理工学部経営システム工学科卒業。

2008年サイトエンジン株式会社を設立しました。
学生時代にSEOを販売する代理店でテレアポと営業のアルバイトを始めたところからデジタルマーケティングの仕事に携わり続けています。

オウンドメディアの構築時の戦略立案や運用などを担当しています。
サイトエンジンではコンテンツマーケティングを中心に新規のリードを獲得し続け、累計800社以上とお取引させていただいています。

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