コンテンツ制作を外注するときの契約書と源泉徴収税のルール

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契約

社内業務を効率化するためコンテンツ制作を外注するには、契約書や税金のルールを明確に把握し、あらゆるリスクに備えて適切に対処できる体制を構築しなければいけません。

契約書は、企業を守る大切な書類です。正しい作り方を覚えて、快適な外注環境を作り上げていきましょう。

今回は、コンテンツ制作を外注したい方に向けて、契約書や税金のルールをご紹介します。

なぜ契約が必要なのか。契約書を締結しないリスクは?

そもそも、コンテンツ制作を外注するにあたり、なぜ契約が必要なのでしょうか?
契約書とは、双方が行った契約を証明する文書です。契約を締結する際に作られる当該契約の内容を表示する文書は、すべて契約書に該当します。

締結した契約書は、書面上に掲載されている内容に双方が合意したことを意味します。違反行為があった場合は、相手は債務不履行となり、該当行為によって生じた実損害を損害賠償請求できます。

契約書を締結しないリスク

契約書を締結することなく、コンテンツ制作を外注化した場合、どんなリスクが発生するのでしょうか?想定されるリスクは、下記の通りです。

・盗用(コピペ)をされてしまう。気が付かずに公開してしまうことで、著作権の侵害になり、権利者に訴えられてしまう

・過去に他社に納品した記事が再納品される。さきに別のサイトでまったく同じ、もしくは似た原稿が公開されている状態になるため、結果として盗用になってしまう。
・実績として書いた記事の内容や、サイトのURLなどを勝手に公開される。
・当初伝えていたサイトとは別の媒体、たとえばSNSやパンフレットなどで転用するときに著作権を主張されて、あとから料金を追加請求される。

これらは、コンテンツ外注時に生じやすいトラブルです。「他社コンテンツをコピペして、納品されるはずがない…。」と思い込んでいると、トラブルが生じたときに適切に対処できなくなります。

契約書がなければ、コンテンツ制作の外注先に、
「コピペしてはいけない、他社で転用してはいけないなどの注意事項は事前に聞いていない。」
「著作権が譲渡され、実績公開禁止だなんて知らなかった。」
と言われても適切に返答できません。

契約書があればトラブルが発生しても、締結時に合意した内容を履行することで、問題の事実を指摘し、責任の所在を明確にできます。

どのように契約を締結すればよいのか

トラブルを回避する効果を持つ契約書は、どのように締結すればよいのでしょうか?普段から当たり前のように交わしている契約書でも、どんな条項を入れるべきなのか、どんな内容を最低限押さえるべきなのか、わからないことばかりです。

ここでは、契約書の作成に必要な知識をご紹介します。

契約書の作り方

契約書には、多数の条項が掲載されています。
条項とは、箇条書きにした個々の文言を意味します。企業として何か新しい取り決めを作りたい場合は、契約書に条項を追記し規約を作ります。

契約書を作成する際は、下記の条項を含めて業務委託者と契約を締結してください。

・作業範囲
・価格や追加報酬の有無
・作業前の着手金の有無
・作業ルール
・修正対応の有無
・キャンセル料金の有無
・納品対応
・著作権譲渡の有無
・秘密保持の有無
・不可抗力発生時の対応の有無(地震・洪水など)
・不履行時の損害金

これらのことを条項として契約書に掲載すれば、トラブルが発生しても書面上の事実にのっとり、損害賠償金を請求できます。
インターネット上で無料の契約書ひな型が多々公開されているため、積極的に利用していきましょう。

契約書と誓約書の違い

契約書を作成するにあたり、誤って誓約書を作成される方がいます。誓約書は、契約書の一種であるため、非常に類似している書類です。

たとえば、誓約書には、下記のことが記述できます。

  • コピペの事実があった場合、一切の料金を支払わない。
  • 許可なく実績公開があった場合、100万円の損害賠償を請求する。

掲載可能なことは、ほぼ契約書と同義であるようにも見えますが、大きな違いは法的効力の有無です。契約書には、法的効力がありますが、誓約書にはありません。

言い換えれば、誓約書に掲載されていることは、個人的な判断で無視できてしまいます。
ですので、コンテンツ制作を外注化する際は、なるべく契約書を用意したほうがよいです。
とはいえ、ライターの数が増えてくるとどうしても契約書を都度交わしていくのが難しいこともあるでしょう。
そのような場合はライターに登録してもらうサイトの利用規約や、誓約書だけで済ませてしまう選択肢もでてきます。
高額な発注や継続的に依頼をするライターとは特別に契約書を締結するという運用の方法もあります。

個人ライターへの源泉徴収の方法

コンテンツ制作を外注する際は、個人ライターに対して、報酬を支払わなければいけません。その際、支払先やタイミングの管理や、源泉徴収の差し引き金額の計算など煩雑な業務が発生します。源泉徴収を忘れていると、税務調査などが入ったときに、会社側の負担になってしまう可能性があります。

源泉徴収とは?税率と計算方法

源泉徴収は、会社がライターに代わって所得税を国に納める義務であり制度を意味します。つまり、報酬支払額から所得税を差し引くことで、会社がライターに代わって税金を国に納めます。

源泉徴収税額の税率は、10.21%です。以前の源泉徴収の税率は10%でした。しかし、 2013年(平成25年)以降から復興特別所得税が加算され、報酬の支払い金額が100万円以下の場合、10.21%と定められています。

報酬金額に、10.21%をかけることで源泉所得税を算出できます。そのため、請求金額から源泉所得税を引いた額をライターの銀行口座に振り込みます。源泉徴収税は、企業がライターに代わって納税します。

源泉徴収税額を計算する場合、100万円を超えるかどうかで、計算方法が異なるため注意してください。計算方法は、下記の通りです。

支払額 源泉徴収税額
100万円以下の場合 報酬額×10.21% = 税額
100万円を超える場合 報酬額 − 100万× 20.42% + 102,100 = 税額

これらの事実を法定調書にまとめ、税務署に届け出ることですべての手続きが完了します。

このとき、個人事業主ではなく、法人企業にコンテンツ制作の発注する場合は、源泉徴収額を計算する必要はありません。個人事業主よりも企業に発注した方が経理の手間を軽減できます。

また、税務署以外にも市区町村に提出義務のある書類があります。給与支払報告書と呼ばれる書類です。給与支払報告書は、税務署ではなく市区町村に提出しなければいけません。
通常、所得税は、税務署に課しますが、住民税については、市区町村に課します。そのため別途、市区町村に給与支払報告書を提出しなければいけません。

ルールを守った発注体制を構築しよう

コンテンツ制作を外注する際は、できるだけ契約書を交わして業務を依頼しましょう。口約束やチャット上でのやり取りでは、証拠としての事実確認が難しいです。

現在は、業務を外注する企業が増えているため、多数の契約書のテンプレートがインターネット上に公開されています。
そのような例を参考にしながら、自社の発注業務に合わせた契約書を作成してリスクを抑えた形で外注してください。

また、源泉徴収税のルールを把握して、税金の支払い漏れや書類の提出不備などがないようにしましょう。。

この記事を書いた人

毛塚智彦
毛塚智彦代表取締役 社長
1985年生まれ。2007年早稲田大学理工学部経営システム工学科卒業。

2008年サイトエンジン株式会社を設立しました。
学生時代にSEOを販売する代理店でテレアポと営業のアルバイトを始めたところからデジタルマーケティングの仕事に携わり続けています。

オウンドメディアの構築時の戦略立案や運用などを担当しています。
サイトエンジンではコンテンツマーケティングを中心に新規のリードを獲得し続け、累計800社以上とお取引させていただいています。

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