外国人観光客を魅きつける日本のアニメ聖地巡礼

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日本を訪れる外国人観光客は年々増え続けていますが、彼らにとっての日本の魅力とは、実は多くの日本人にとって「えっ?そんなものを見たいの?」と驚くようなものであったりもします。アニメの「聖地巡礼」もそれにあたるかもしれません。

聖地巡礼、といっても決して宗教的なものではなく、主に日本のアニメの舞台になった場所を実際に訪れることを指します。作者や声優さんなどの出身地なども時には含まれます。

(写真)「あの花(あの日みた花の名前を僕達はまだ知らない)」の舞台となった秩父の風景

eyecatch

画像引用元:http://thailog.net/2014/03/19/10538/

訪日観光客の6%が聖地巡礼

最近のアニメは写実的な絵のものも多いので、外国人旅行者がアニメで見たままの現地の風景をバックにした写真をSNSにアップし、同好の仲間たちと共感を分かち合う、こんな姿が今日本のあちこちで見られています。

訪日外国人に「訪日前に期待していたこと」を複数回答で尋ねたら、6.1%が「映画・アニメ縁の地を訪問」と回答したデータもあります。

6%というと一見少ないようですが、2014年の訪日外国人旅行者数が約1340万人、その6%の約80万人が聖地巡礼に期待して訪日したということで、地方経済への波及効果は大きいです。

代表格といえる「らき☆すた」による埼玉県久喜市への経済効果は、テレビ放送後3年間でなんと推定22億円。

放映自体は2007年4〜9月でしたが、07年には12~3万人だった鷲宮神社の初詣客は、08年には30万人、09年に42万人、10年には45万人と急増、その後も減らず定着しているそうです。

また実際に「映画・アニメゆかりの地を訪問」した外国人にその満足度を尋ねたところ、83.4%が「満足した」と答えています。非常に高い数字に驚きます。(訪日外国人消費動向調査(2014年7‐9月期報告書(観光省))

(写真)アニメ「らき☆すた」の舞台、鷲宮神社入り口
鷲宮神社入り口
らきすたの神社

画像引用元:http://blog.livedoor.jp/seichijunrei/archives/51979645.html

アニメがきっかけで日本語を勉強しはじめる人が多い

日本のアニメの人気は、動画配信サービスの発達や政府のクールジャパン政策により、欧米もですが特にアジアでは年々強くなっています。

そしてこういった日本のアニメを見て日本に憧れながら育った世代こそが、実際に今日本を訪れている世界の若者たちです。

また、日本語を勉強する外国人にとっての最初のきっかけは、仕事のためではなく、アニメが好きだったからという理由が大半を占めるようになってきています。

日本中にアニメの聖地が

「聖地なんて日本のごくごく限られた場所だけだろう」と思われるかもしれませんが、2015年5月に、総合求人情報サイトなどを運営する「ディップ」が公開したWEBサイト「聖地巡礼マップ」には 47都道府県別、全4,500箇所のアニメ聖地情報が載っています。

あなたの住む街のそばにも必ず何かしらの聖地があるはずです。

(写真)アニメ「スラムダンク」の聖地(江ノ電の風景)。台湾で特に強い人気を誇る。

江ノ電
画像引用元:http://www.j-cast.com/2015/07/29241467.html

旅行だけでなく日本で働きたいという需要も増加

さらに、最近は聖地巡礼では飽き足らず、『日本のメイドカフェで働きたい!』
『日本のアイドルになりたい!』といった女の子もたくさん来日しているそうです。

そのような外国人の女の子の日本での活動を支援している秋葉るきさんによると、彼女たちは決して自分たちの母国で活動したいのではなく、日本でのデビューを夢見て、秋葉原でバイトしながら地下アイドル として頑張っており、ここ数年でそういう人はとても増えてきているとのこと。

ただ、日本人と違い、芸能活動ができるビザと取るのは大変で、人気が出ても泣く泣く帰国する子も多いそうです。

台湾人アイドル志望

自治体のアニメ聖地巡礼を歓迎する動き

日本で唯一人の「聖地巡礼プロデューサー」柿崎俊道さんによれば、2004年頃から聖地巡礼の仕掛け人として、埼玉県の「アニたま祭」など全国で活躍されていますが、この数年は地方自治体がそういう動きを歓迎し、予算や会場等積極的に協力するケースが多くなっているそうです。

さきほどの「らき☆すた」の事例のように、日本人であれ外国人であれ、言葉があまり通じなくても、思い入れのある作品の仲間とともにその聖地で盛り上がることこそが最大の喜びだし、さらに地元の人もその輪に入り、アニメが入り口となり、地元の食や物産品、観光スポットなどにも思い入れが広がってゆく。

アニメの聖地巡礼によるインバウンド観光の活性化は、まだまだ大きく広がる可能性を持っています。

この記事を書いた人

筆谷信昭
1966年生まれ。京都大学法学部卒業後ベインアンドカンパニー入社、1992年より通訳翻訳会社のISSに参画、1998年より同社代表取締役社長、2010年退任。以後は映像翻訳、ゲーム開発、マンガ・アニメの海外展開支援、大学、地方自治体の国際化支援など、日本・北米・東南アジアをメインに幅広い分野で活躍中。2015年サイトエンジンの顧問に就任。

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