機械翻訳の精度は年々向上しており、今や日常会話レベルの簡単な英文ならば正確に訳してくれるサービスが多くあります。さらに複数の機械翻訳を利用すれば、より自然に訳すことができます。もっとも、機械翻訳で言葉の微妙なニュアンスを訳すことは難しく、より適切なコミュニケーションを図るならば機械翻訳と人力翻訳を使い分けた方が良いでしょう。
1.まだまだ起こりうる!トンデモナイ機械翻訳
小説や歌詞など一文一文に特別な意味が込められている場合には、機械翻訳よりも人力翻訳の方が適しているといえます。
たとえば、「As soon as it smelled, princess」という英文は日本昔話『かぐや姫』の原題ですが、機械翻訳で訳すと、「匂いがつくとすぐに、プリンセス」という日本語になります。
また、「Things may come to those who wait,but only the things left by those who hustle」という、とあるアメリカの大統領の名言がありますが、これを機械翻訳で訳すと「待っている人には物事が起こるかもしれないが、慌てた人たちによって残されたものだけがある」になります。
彼が言いたかったのは「待っているだけの人が得られるものは、努力した人たちの残り物だ」ということで、大切なものは努力をしないと得られないということを伝えたかったのでしょう。
残念ながら機械翻訳では微妙なニュアンスが伝えられません。もっとも、文法に忠実に訳すようプログラミングされている機械翻訳が悪いわけでは決してなく、機械翻訳で訳せるレベルを超えているのが原因です。
2.状況に応じて言葉を使い分けるのは熟練翻訳者の強み
英語を日本語に訳すときでも、日本語を英語に訳すときでも、その状況に応じて適切な語句を使用しなければなりません。
たとえば、「sleep」は「眠る」という意味以外でも、「感覚がない」という意味が転じて「痺れた」という意味で使われることがあります。
このような場合、英語の意味を知っているのはもちろん、想像力を働かせてその状況で用いられるより適切な言葉がないかを考える必要があります。
先ほどのアメリカの大統領の名言で、機械翻訳では「hustle」という単語を「急ぐ」と訳していましたが、何を急いでいるかわからないので、「精を出す」つまり努力すると訳した方がより自然になります。
一方、日英翻訳においても、たとえば「sleep」を使うのか「asleep」を使うのかなど、原文に込められた微妙なニュアンスから考え抜かなければなりません。
言葉の使い分けは、想像力を有するため、経験豊富な熟練翻訳者の強みになります。
3.伝わるメッセージにするには読み手への配慮が必要
コミュニケーションにおいて重要なことの一つは「伝えたい」という気持ちであり、それはボディランゲージの使えない書面のやり取りにもあてはまります。
契約書の翻訳においては「definition」の項目で定義づけられた用語の使用に特に注意を払い、同じ意味を有していても異なる単語を使うことは控えます。
これは読み手を混乱させないための配慮ですが、機械翻訳では実現の難しいことでしょう。
機械翻訳で訳した場合、1つの文章であっても、複数の同義語・類語が用いられることは珍しくありません。文書の全体像を把握して厳密に訳すことに機械翻訳はあまり適していないといえます。
どうすればこのニュアンスを相手にわかってもらえるのかを考えることができるのは翻訳者であり、機械ではありません。
短文を訳す場合や概要を伝えたい場合には機械翻訳でも十分ですが、微妙なニュアンスを伝えたい場合や文脈などを読み取って伝えたい場合には機械翻訳には限界があり、人力翻訳の方が適しているといえます。
コストとしては一般的に人力翻訳よりも機械翻訳の方が安価なので、目的や用途に応じて使い分けるようにすると良いでしょう。
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