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【国別徹底比較】誰もが知ってるグローバルEコマースサイトから学べる、Webサイトローカリゼーションの秘訣

サービスの海外展開は、単に「Webサイトを翻訳して終わり」ではありません。翻訳一つをとっても議論すべきところは沢山ありますが、現地の人にとって違和感・不便がないデザイン・設計を考えていくと、本当に奥が深く終わりがありません。

この記事では、誰もが知っているAmazonや楽天を例に挙げて、グローバルに展開しているWebサイトを国ごとに並べて違いを見てみました。

など、Webサイトの多言語化や、ローカリゼーションの参考になるのではないでしょうか。

目次


 

1. 国ごとにコンテンツを変えるか、変えないか

例として、Amazonのトップページを国ごとに比較していきます。

日本

まずはおなじみ、アマゾン・ジャパン。

アメリカ

Amazon.comの電化製品でベストセラー(と書かれてある)のFire TVスティックがトップになっていました。

コンテンツが似通っているもの

本記事を書いているのは8月30日。アマゾンでは、9月から新学期を迎える欧米圏の国のいくつかで「Back to Schoolセール」として、電子書籍Kindleのセールをしています。

イギリス

イタリア

カナダ

コンテンツが独自のもの・他と異なるもの

メキシコ

一方、メキシコでトップに出てくるのは家具や日用品のようです。(Back to schoolは2枚目のスライドに出てきます)

スペイン

メキシコはスペイン語圏ですが、メキシコ用のWebサイトと、スペイン用のWebサイトは文言も内容も異なります。

インド

インドで最初に出るのは、ハードドライブやメモリーカードなど、データストレージデバイスのセールでした。

余談ですが、インドでは女性用の服に「エスニック・ウェア」というカテゴリがあり、サリーなどの服も豊富に取り扱われていました。しかも「シルク・コットン」など素材から選んだり、「カクテルパーティー・仕事用」など用途から選んだりもできるようです。とてもインドらしいですね。

ドイツ

同じヨーロッパ圏でも、州ごとに休暇・新学期開始の日程が異なるドイツでは、既に新学期が始まっている地域もあるようです。そのためか、「Back to School」推しではなく、Kindleファイヤーのセールがトップになっていました。

文化・風習が似ている地域は、コンテンツや売り出し方も似ている

ある意味当たり前の結論に行き着いてしまいましたが、文化的に似ている地域は、同じコンテンツを翻訳したものが多く見受けられました。ただし上記のドイツのように、小さな風習の違いにも配慮と工夫が見えました。

一方、日本・インド・中国などは地域の特性が強く、「その国ならでは」のコンテンツが多く見られました。


 

2. 国ごとにデザインを変えるか、変えないか

Amazonの場合:中国以外大きくデザインを変えていない

デザインにおいては、今回チェックAmazonサイト11カ国のうち、中国版に最も大きな違いがありました。日本含めその他10カ国は、トップページのデザインや構成は似ていました。

左サイドバーに「カテゴリ」が常に出ていたり、他の国に比べてトップページに情報が多く盛り込まれています。楽天のWebサイトにイメージが近いですね。

楽天の場合:地域区分ごとにデザインが異なる

一方、そんな楽天はどうかというと、「アジア」「ヨーロッパ」「アメリカ」と、大陸・地域ごとにデザインが大きく異なっている印象を受けました。アジア向けの方が一つ一つのコンテンツの枠が小さくて情報量が多く、ヨーロッパの方がAmazonに近いシンプルな作りになっています。(ただし、フランスのPrice Ministerなど楽天が買収したサービスにおいて、元のデザインを尊重して残しているものもありました。)

そこから更に、各国ごとに言語やコンテンツ、配置を調整している様子が見られます。

日本(アジア)

最近Topページがリニューアルされましたが、おなじみ楽天のWebサイトです。

台湾(アジア)

インドネシア・シンガポールにも見られますが、ロゴのすぐ横にまで広告バナーがあります。

シンガポール(アジア)

ロゴのすぐ下に、「From Japan」というタブが目立つように配置されています。国ごとに人々が「何を目的として自社サイトを訪問するか」を見極めると、タブの配置にも違いが出てきますね。

インドネシア(アジア)

サービス名称を、国によって変えているのも面白さのひとつです。楽天はインドネシアでは「Rakuten Belanja Online(Belanjaは、インドネシア語で「ショッピング」という意味だそうです)」という名前にしています。

タイ(アジア:TARAD.com)

こちらは、TARAD.comという名前を残しています。現在はタイのECマーケットでトップにまで躍り出ているようですね。

ドイツ(ヨーロッパ)

ここからヨーロッパ。デザインがかなりすっきりしています。

オーストリア(ヨーロッパ)

ドイツ語圏のオーストリアは、ドイツと非常に良く似ています。

イギリス(ヨーロッパ)

ヨーロッパ圏の中では、情報量が多めでした。

スペイン(ヨーロッパ)

言語が異なるものの、イギリスとよくレイアウトが似ています。

フランス(ヨーロッパ:Price Minister)

Price Ministerとしてのサービスを尊重し、あまり楽天感を押し出していません。

アメリカ

同じ英語圏でも、イギリスとはかなりデザインも内容も異なります。


 

3. 国ごとに色遣いを変えるか、変えないか

国によって、ある色遣いが宗教・政治的にタブーになっている場合もあります。

Amazonの場合、フランス・中国のサイトにおいて、Webサイトのヘッダー部分(背景色が黒または紺)が、白色になっています。詳しい経緯は不明ですが、中国では黒色は「違法」などを意味することもあるようです。

日本(アマゾン)

フランス(アマゾン)

中国(アマゾン)

ブラジル(楽天)

楽天もブラジルにおいては、楽天カラーの赤がかなり抑えられています。(共産主義カラーである赤が関係しているのか、他の理由なのかは不明)


 

4. 現地語に訳すか、訳さないか

Amazonでもインドのサイトは英語。スペインとメキシコは、同じスペイン語圏でも表現が大きく異なっていました。Amazonという名前一つをとっても、中国では「亚马逊(Amazon)」という表記を作っています。

などに応じて、英語ベースで作るか、現地語のみで作るか、たまに英語を混ぜるか、判断が分かれてくるのではないでしょうか。特にアジア圏の国など、国内で複数の言語が使われる国において考慮した方が良い点かもしれません。

例として、東南アジアを中心に急成長中のファッションEコマースサイト「ZALORA」を挙げておきます。

ZALORA

同じアジア地域でも、かなり違いが見られると思います。また、意外と英語が頻度高く使われていることに驚かれた人も多いのではないでしょうか。


 

5. おわりに:ローカルを深く理解し、こだわり切る

最後に、数年前の記事にはなりますが、Mashableの「5 Ways to Win at Website Localization」という記事が面白かったのでご紹介します。最後に「”Down to the Last Detail”(細部までとことんこだわれ)」という見出しのもと、Webサイトの海外展開で見ておくべき観点として下記を挙げています。

・Dates: Month, day, year vs. day, month, year.
(日付の表記:月・日・年か、日・月・年か)
・Time: 12-hour vs. 24-hour time.
(時間の表記:12時間表記か、24時間表記か)
・Color: Avoid local color sensitivities.
(色:ローカルでセンシティブな色は避ける)
・Currency: Pay attention to conversions and formats.
(通貨:通貨の換算や、フォーマットに注意)
・Phone Numbers: Formats are different around the world.
(電話番号:国ごとにフォーマットが違う)
・National Holidays: Holidays are country and region specific.
(祝日:その国・地域に合わせる)
・Geographic Examples: Keep it relevant for your audience.
(地理:Webサイトを見ている人に馴染みのある例をだす)

他にも「国ごとの決済方法の違い」など、まだまだ特筆すべき点はありますが、今回は誰でもすぐに見れるところからご紹介しました。眺めているだけでも面白いですし、なぜ違いを出しているのかを考えていくと奥の深さを感じます。

皆さんがビジネスをしている(する予定の)国において、活かせるポイントはありましたでしょうか?少しでもご参考になれば幸いです。