翻訳会社に発注するときに、翻訳の品質を上げるための方法をまとめてみます。
高い金額を払って、有名な翻訳者に依頼したり、チェッカーの数を増やしたりすれば当然品質は上がるのですが、
高額で高品質なのは普通なので、同じ値段でより品質の高い翻訳をするにはどうすればよいか方法を探さなくてはいけません。
ちょっとした工夫が品質を上げることに繋がりますので、継続的に翻訳の業務が発生する場合、日々改善できるように少しずつ翻訳方法を変えていきましょう。
目次
その分野の翻訳経験がある翻訳者に担当してもらう
ある程度の専門性が求められる原稿の場合、その分野の翻訳経験の有無が品質に大きく影響してきます。
どんな原稿を翻訳するにしろ、過去に類似の案件で実績のある人に依頼したほうがよいです。
品質を担保するには、専門分野に習熟した翻訳者とチェッカーの2人が必要です。
作業フローや体制を確認する
作業フローや人数によって品質が大きく変わります。
1.翻訳者だけで翻訳して終わり
2.翻訳者とは別のチェッカーが入り修正する
3.翻訳者とは別のチェッカーが入り、さらにチェックのあとにもう1人が確認する
チェックに関わる人数が多いほうがミスは減り品質は上がりますが、コストは上がっていきます。
常に高い品質を求めるのではなく、求めている水準にあわせてフローや体制を決めましょう。
また、翻訳者、チェッカーが翻訳後言語のネイティブであるかどうかも重要な要素です。
日本語から英語への翻訳の場合は、アメリカ人やイギリス人などの英語ネイティブ、
英語から日本語へは日本人が翻訳したほうがよいでしょう。
日本語から英語への翻訳を日本人が作業すると、幼少期からずっと英語圏で生活してきた完全なバイリンガル以外は、相当英語のレベルが高かったとしても、不自然な点が残ってしまいがちです。
英語を使って論文を書いて、外国の大学を卒業したというような人ですら、ちょっとした文法の誤りで違和感のある表現になったりします。
翻訳会社に依頼する場合にはチェックの体制を確認してください。
フリーランスに依頼する場合には翻訳者とは別のチェッカーにも依頼したほうがよいでしょう。
訳文をどう使う予定なのかを具体的に伝える
ただ単に翻訳対象の原稿を用意するだけでなく、以下のような要素を詳しく伝えたほうが、翻訳の品質が上がります。
どんな媒体で使われるのか
同じ文章でも、シチュエーションによって翻訳の仕方は異なります。
たとえばパンフレット、カタログ、取扱説明書などで使うときと、プレゼン資料や社内向けの教育資料で使うときには
同じ原文であっても訳文が異なっていることが多いでしょう。
用途に応じて適切な翻訳の仕方を選ぶためにも、どのような媒体で翻訳原稿を使う予定なのかを翻訳会社に共有しましょう。
どのように訳文を配置させるか
レイアウトの要素も非常に重要です。
カタログやパンフレットを作る場合にはDTPが、サイトをつくるならHTML/CSSコーディングが必要になります。
これらはいずれもレイアウトが関連してきます。
翻訳すると文字数が変わることが多いですので、印刷物などスペースが限定されている場合には、長くなった文字数をどう収めるのか決めておかなくてはいけません。
翻訳が終わってから実は横幅が狭すぎて収まらないとなると、ページ数を増やすのか、それともフォントサイズを小さくするのかなど、対応が必要になってしまいます。
慌てることがないように、あらかじめ長くなったときにどうするか決めておき、それを翻訳者に伝えておきましょう。
翻訳者は特別な指定がなければ改行位置などは気にせずに訳文を制作しますが、
あらかじめ1行あたりの文字数を指定しておけば、その範囲内にあわせて訳文を書いてもらうことも
できるでしょう。
訳文を読むのは誰なのか
読み手の知識量に応じて読みやすい文章の内容は変わってきます。
読み手はどのような人なのかを翻訳者に共有しましょう。
社内の同僚なのか、それともお客様なのか、その分野の初心者なのかそれとも専門家なのかなど、
読み手によって翻訳の仕方が変わってきます。
文章の堅さ、どれくらい専門性を維持するかなど、訳文が同じ意味だったとしても伝え方のニュアンスが変わってきます。
参考資料を用意する
用語集、翻訳メモリ、過去に翻訳した資料など手元にあるもので、翻訳者の参考になりそうなものがあればできるだけ共有するようにしてください。過去に翻訳した文章があれば品質の目安にもなります。
特に、専門用語や固有名詞などがたくさんある場合には、過去にどう翻訳したかがわかったほうが親切です。
たとえば人名などは、発音から外国語に変換することが多いですが、訳者によって文字の表記が異なる場合があります。
どちらでも誤訳ではないけれども、過去に翻訳したときと違う表記になるということはあります。
また、会社内で独自に使っている略語などは、社外の人からすると意味がわからないことがありますので、あらかじめ教えてあげる必要があります。
もちろん翻訳者から意味がわからない部分は質問されることになると思いますが、最初にまとめて伝えておいたほうがお互い余計な手間が発生せずに済みます。
また、スタイルガイドという文体や使う文字の種類などのルールをまとめた資料もあると、想定していたとおりの訳文になります。
スタイルガイドがないと、意図していなかった表記方法で納品されてしまうことがありますので注意が必要です。
あとから修正するよりも、最初に訳し方をある程度指定しておいて、そのとおりに翻訳作業が進むようにしたほうが作業日数もコストも抑えられます。
やり直しが発生すればするほど時間とお金がかかります。
用語集や翻訳メモリやスタイルガイドについては以下でも説明していますから、あわせて参照してください。
大規模翻訳プロジェクトでコストダウンするための方法
大規模な翻訳プロジェクトの場合、TradosやMemsourceやYarakuzenなどの翻訳メモリをつかうことをオススメします。
過去の訳文を使いまわすことができるため品質の向上だけでなく費用削減にもつながります。
納期に余裕を持つ
納期が短いとその分品質も下がります。
特に、通常1人で行う程度の小さな分量なのに急ぎで終わらせなくてはいけなくて、2人以上で翻訳する場合には注意が必要です。
1人で翻訳する場合は、翻訳の仕方の表現方法やニュアンスが統一できますが、2人以上で取り組むと同じ訳文なのにブレが生じてしまう可能性があります。
訳文としては間違いではないけれども、違った翻訳の仕方になってしまうということです。
過去に同じ文章をどう翻訳したかを表示してくれる翻訳メモリなどのツールを使えば解決できますが、すごく小さなプロジェクトで翻訳メモリを使うと余計な工数が発生します。
急ぎの仕事は品質だけでなくコストにも跳ね返ってきます。
急な仕事が発生しないように、あらかじめ余裕をもったスケジュールを設定しましょう。
途中でフィードバックを入れる
大規模な翻訳プロジェクトの場合、中間納期を設定して、マイルストーンごとに少しずつ納品してもらうことになります。
分納をしてもらったときに、問題があった点や、改善してほしい要望などをできるだけ翻訳会社、翻訳者に伝えるようにしてください。
こまめにフィードバックをすることで、少しずつ改善されていきます。
ただ、できるだけ最初の指示のときに要望をきちんと出すようにして、その要望に沿っていない箇所を指摘するほうが望ましいということを忘れないでください。
もちろん誤訳や誤字脱字や用語の統一がされていないような訳文は指摘してよいと思いますが、意味は正確にあっていて、ニュアンスや表現の違いなどの好みの問題で要望をたくさん出すのは望ましくないです。やり直しの工数が発生してお互い不幸になります。
まとめ
プロジェクト開始前の事前の準備の違いで、訳文の品質は大きく変わってきます。
同じコストでも、しっかりと要望を伝え、参考資料などを用意しておくことで、品質を向上させることができます。
また、極力翻訳者とのやり取りの手間を減らし、かつ無駄な手戻りを発生させないためにも、スタイルガイドや用語集などを用意することを検討してみてください。
この記事を書いた人
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1985年生まれ。2007年早稲田大学理工学部経営システム工学科卒業。
2008年サイトエンジン株式会社を設立しました。
学生時代にSEOを販売する代理店でテレアポと営業のアルバイトを始めたところからデジタルマーケティングの仕事に携わり続けています。
オウンドメディアの構築時の戦略立案や運用などを担当しています。
サイトエンジンではコンテンツマーケティングを中心に新規のリードを獲得し続け、累計800社以上とお取引させていただいています。
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