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大規模翻訳プロジェクトでコストダウンするための方法

大規模な翻訳のプロジェクトでコストを抑えるためのポイントを紹介します。

求める品質を定義して、それあったプロセスを採用する

コストと品質は比例してあがっていくものです。コストが上がれば品質も上がります。

ここで考えるべきなのは、どれくらいの品質が必要なプロジェクトなのかということです。

たとえば、本やカタログとして数千部印刷する予定になっている原稿で誤りがあると、取り返しがつかないことになりますので厳重なチェックが必要です。
一方で、越境ECのサイトの商品紹介文であれば、もちろん正しいにこしたことはないですが、完璧である必要はありません。
翻訳者とは別のチェッカーを入れるとすると、コストが1.5倍になるとしたら入れないという選択肢も出てくると思います。

越境ECの場合、商品1つを登録するためにかかる費用がいくらになるのかはビジネスに大きな差となります。
なんでも完璧さを求めようとするのではなく、求める品質とコストのバランスを考えて、最適な方法を選びましょう。
翻訳対象によっては機械翻訳で用が足りてしまうこともあります。

また、近年ではクラウドソーシングで翻訳者に依頼できるようになってきていますので、チェックが不要であれば選択肢に入ってくるでしょう。

スタイルガイドの作成

納期によりますが、基本的に翻訳者は複数名になります。
並行して作業することになるため、複数名で翻訳や表記の仕方を統一する必要があります。

スタイルガイドとは、翻訳の表記に関するルールを定めたものです。
以下は弊社も加盟している日本翻訳連盟(JTF)が公開しているスタイルガイドのリンクです。
JTF 日本語標準スタイルガイド(翻訳用)

案件ごとに必要に応じて変更して使えます。

ただ、あまりにも規模が小さい案件でスタイルガイドを最初から作成していると、その部分のコストの比率が高くなってしまいますから注意しましょう。

なお、スタイルガイドの導入にあたっては、ツールを使うのが望ましいです。
というのも、人間の記憶力に頼る形で運用しても、どうしても抜け漏れが発生してしまうからです。
ツールが自動的に問題のある箇所を表示させてくれるので、ミスがなくなります。

以下JTFのスタイルチェックツールです。
スタイルチェックツール|JTF 日本翻訳連盟

なお、チェック機能は後述する翻訳メモリなどの支援ツールにも含まれています。

用語集と翻訳メモリの利用

用語集とは、対訳をまとめたものです。
翻訳の仕方が何パターンもあり、どれも間違いではないことがあります。

そうしたときに訳し方が翻訳者ごとに異なっているのを防ぐために対訳の一覧をまとめた用語集を作成します。
これもスタイルガイドと同じように、人間の記憶力に頼って運用しようとすると、抜け漏れが発生するため、翻訳メモリ(Translation Memory の略でTMと呼ばれることもあります)というツールを使います。

翻訳メモリとは、過去に翻訳した原文と訳文をデータベースに蓄積していき、同じ原文が出てきたときに、過去の訳文を表示してくれるようになるツールです。

過去の訳文と照らしあわせることで、同じ原文なのに違う翻訳のしかたをしてしまうことを防ぎます。
また、過去の訳文を参照することで翻訳を簡単にして業務時間を短縮し、効率化します。
コンテキストによっては同じ原文だったとしても違う翻訳のしかたになることはあるのですが、過去の訳文を参照できるのは便利です。

一度すべてを翻訳し終わってから統一しようとすると、無駄な工数が発生します。
そのため、翻訳者が自ら訳し方の統一ができているかをチェックできるようにするのです。

翻訳メモリのソフトウェアではTRADOSが有名です。メーカーをはじめとして、大規模な翻訳案件をかかえている企業でよく使われていて、お客様からTRADOSをご指定いただくこともしばしばです。

他にもMemsourcememoQが有名です。
OmegaTという無料のツールもあります。

パソコンにインストールする形式の翻訳メモリのソフトウェアにはデメリットがあります。
パソコンのローカルに原文と訳文を蓄積していくことになるので、リアルタイムで他の翻訳者と情報のやり取りができないです。
大規模な翻訳プロジェクトだと、複数名が役割分担して自分の担当のページを翻訳することになります。
そのときに、リアルタイムでどう翻訳したのかをお互い参照できないと、ページごとに翻訳の仕方が異なった状態になってしまいます。

TRADOSにもリアルタイムで原文と訳文を登録していってくれるクラウドのサービスもありますが、
無料のクラウドの翻訳メモリとして、ヤラクゼンというツールがあります。

翻訳する箇所を減らす

原文が重複しているところはもちろん、そもそも翻訳する必要がない箇所がないかをチェックしましょう。
入念に確認していくと、翻訳しても意味がないのではない箇所がけっこう混ざっているものです。

また、文章が冗長になっていたり、同じことを説明する文章が何度も出てきたりすることがあります。
バッサリと切って大丈夫なところがないかを確認しましょう。

そうしたところを省ければその分コストを削減することが出来ます。

まとめ

試行錯誤していくと必ずコストを下げられますので、大きなプロジェクトがあるたびに毎回プロセスを見直すとよいと思います。

高価格で高品質なのは当たり前なので、いかにコストを抑えて費用な水準の品質に到達させるかを考えてみてください。

この記事を書いた人

毛塚智彦代表取締役 社長
1985年生まれ。2007年早稲田大学理工学部経営システム工学科卒業。

2008年サイトエンジン株式会社を設立しました。
学生時代にSEOを販売する代理店でテレアポと営業のアルバイトを始めたところからデジタルマーケティングの仕事に携わり続けています。

オウンドメディアの構築時の戦略立案や運用などを担当しています。
サイトエンジンではコンテンツマーケティングを中心に新規のリードを獲得し続け、累計800社以上とお取引させていただいています。