コンテンツマーケティングという言葉を最近よく聞くし、どんなマーケティング手法なのか気になっているけれども実施したことがないという方のために、基礎知識をまとめています。
これから始める方は参考にしてください。
目次
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、コンテンツの提供を通して顧客獲得を行うマーケティング手法の事です。日本では、主に2014年頃から取り上げられるようになりました。
本記事では、コンテンツマーケティングの基本的な情報を紹介します。
基本的な考え方をしっかりと把握して実施する事で、問い合わせ等の営業機会の創出をする事ができます。
コンテンツマーケティングの定義
まず、コンテンツマーケティングという言葉の定義について確認します。
ここでは、アメリカのコンテンツマーケティングインスティチュートが発信しているコンテンツマーケティングの定義を紹介します。
Content marketing is a strategic marketing approach focused on creating and distributing valuable, relevant, and consistent content to attract and retain a clearly-defined audience – and, ultimately, to drive profitable customer action.
簡単にまとめると、コンテンツマーケティングとは、「ユーザーに価値のあるコンテンツを配信し、最終的に利益につながる行動をおこすよう促すマーケティング手法」のことです。
価値のあるコンテンツとは、ユーザーが知りたい情報が詳しくまとまっているコンテンツの事を指します。
コンテンツマーケティングの歴史
言葉自体は、2001年にアメリカのPenton Mediaという会社が使ったのが最初です。
当初は似た意味の言葉としてカスタムパブリッシングが使われていました。
90年代後半からはカスタムメディアという言葉に置き換わりはじめました。
2007年にアメリカでCMI: Content Marketing Instituteが立ち上がり、言葉が急速に普及しはじめました。
言葉が登場したのは2001年なのですが、はるか以前から同様の取り組みをしている会社は多数ありました。
その原点と言われているのが1895年創刊の「The Furrow」といわれるアメリカの雑誌です。
「The Furrow」は、アメリカの農機具メーカーが発行した、農業のノウハウなどの最新情報を提供する為の雑誌です。
自社製品の売り込みを目的としたものではなく、純粋な情報提供の為の取り組みをしている点が、コンテンツマーケティングの先駆けといわれる理由です。
ほかによく例として挙がっているのは、1900年にタイヤメーカーのミシュランが発行したミシュランガイドです。
ミシュランガイドにはグルメガイドですが、遠方に食べに行くきっかけを作る、つまりタイヤのニーズが増えるという意図で制作されました。
直接タイヤを売り込む資料を作るのではなく、間接的にタイヤの消費を促進する資料を配布したのがポイントです。
日本でコンテンツマーケティングという言葉が有名になり始めたのは2014年頃です。
今コンテンツマーケティングが注目されている背景
世の中の情報量がものすごい勢いで増えている一方で、人間が処理しきれる情報量はそれほど増えていません。
多くの人々が毎日処理できる以上の情報に触れ続けています。
そのため、多くの人が興味のない売り込みの情報を無視するようになっています。
また、Googleなどの検索エンジンの普及によって、ユーザーが能動的に情報収集をする環境が整いました。
商品を購入する際も、事前に他社との価格比較が容易にできます。
そのため、情報が少なく選択の幅が狭かった昔と比べて、ユーザーはより安く質の高い商品に流れるようになりました。
これに伴い、一方的に情報を発信する「売り込み」手法から、Webサイトで「待ち構える」手法がとられるようになってきました。
コンテンツマーケティングは、価値ある情報を提供する事によって見込み顧客の集客を行うという「待ち構える」マーケティング手法といえます。
コンテンツマーケティングの仕組み
コンテンツマーケティングの定義や歴史について触れましたが、まだピンとこない方も多いと思います。そこで、ここからは仕組みについて例を挙げながら紹介していきます。
価値のあるコンテンツを制作する
肝となるのは、価値ある情報を制作して提供する事です。
ここでは、自社の商品を売り込むようなコンテンツではなく、ユーザーに有益なコンテンツを提供する必要があります。
最近ではユーザーが一方的な営業メールや広告に慣れてきてしまっている為、自社の商品を売り込むようなコンテンツはほとんど読んでもらう事ができません。
もちろん自社のサービスを購入してもらう事が最終的な目標ですが、段階を踏んでアプローチしていく必要があります。
潜在顧客の育成
Web上で検索を行っているユーザーには、いくつかの段階があります。
サービス名や価格に関する内容で検索をしているユーザーは、成約に近い見込み顧客です。
この成約一歩手前の潜在顧客に向けたコンテンツを提供する事によって、潜在顧客を見込み顧客にすることを目指します。
潜在顧客は、サービスそのものを検索するのではなく、現在の悩みを解決する為の方法を探しているケースが多いです。
この会社の見込み顧客は、海外進出支援サービスを探している会社です。そのような見込み顧客が検索するキーワードには「海外支社 設立代行」、「海外進出 支援」などが予想されます。
コンテンツマーケティングでは、さらに深堀して潜在顧客に向けたコンテンツを提供します。
この例だと、「近い将来海外進出を検討している」会社が潜在顧客です。
潜在顧客は、海外進出時の注意点、どの国に進出するべきか、費用はどれくらいかかるか、などの情報収集をしていると考えられます。
コンテンツマーケティングでは、これらの疑問や悩みの回答となるコンテンツを提供します。
これによって潜在顧客を見込み顧客にしていきます。
コンテンツマーケティングのメリット
コンテンツマーケティングには、様々なメリットが挙げられます。
SNSによる拡散
コンテンツマーケティングは、SNSとの相性がよい施策です。
価値あるコンテンツを丁寧に制作すれば、きちんとユーザーに評価されてSNSで拡散される環境が整ってきています。
自然な被リンクの獲得
価値のあるコンテンツを作成することによって、SNS同様に他サイトやブログに取り上げてもらう事もできます。外部サイトやブログで紹介してもらい、自然な外部リンクの獲得を行う事ができます。
資産としてサイトに蓄積される
価値あるコンテンツは、一度作成すればそのコンテンツが存在し続ける限りユーザーを集客し続けます。リスティング広告に比べて即効性はありませんが、コンテンツマーケティングでは徐々に集客を積み重ねていきます。長期的に見ると費用対効果が高い施策です。
コンテンツマーケティングのデメリット
適切に運用すれば効果を発揮するコンテンツマーケティングですが、デメリットもあります。
デメリットもきちんと理解した上で取り組む必要があります。
広告に比べて即効性が低い
コンテンツマーケティングは、顧客育成という長期的な視野をもって取り組む必要があるため、リスティング広告などに比べて短期間で結果がでにくいマーケティング手法です。
しかし広告と違って、コンテンツはサイトに蓄積されていく為、長期的に見ると効果を発揮していきます。
運営にコストがかかる
コンテンツマーケティングでは、コンテンツ作成に工数がかかります。
継続して一定の質を維持したコンテンツを作成して更新していく必要があります。
質の高いコンテンツにするには、情報を充実させる必要があります。
自然と文字数が多くなる傾向にあり、目安として1記事で2000文字前後になることが多いです。
記事作成以外にもさまざまな費用が発生します。詳しくは以下の記事をご覧ください。
コンテンツマーケティング・記事制作にかかるコストまとめ
オウンドメディアとは
コンテンツマーケティングに関する話題の中でよく出るのが、オウンドメディアです。
オウンドメディアは、企業のマーケティングにおいての柱となるトリプルメディアのうちの一つです。トリプルメディアは、ペイドメディア・アーンドメディア・オウンドメディアから構成されています。
ペイドメディア
ペイドメディアとは、「Paid Media」と文字通り支払いを伴うメディアの事を指します。例としては、リスティング広告や、バナー広告などが挙げられます。
アーンドメディア
英語で「Earned Media」と書きます。企業がユーザーや消費者からの信頼を得る為のメディアです。主に、FacebookやTwitterなどのSNSの事を指します。
オウンドメディア
自社で所有しているWebサイトやブログなどを指します。ソーシャルメディアやその他のメディアのハブ的役割を担うのが、このオウンドメディアです。
Webサイト以外の媒体(広報誌など)も広義に含みますが、ここでは「自社で所有運営しているWebメディア」のことを指している場合が多いです。
まとめ
コンテンツマーケティングでは、顧客にすぐ売り込むのではなく、時間をかけて潜在顧客を育成して顧客にしていきます。そのため、効果を実感するのには時間がかかります。
しかし、コンテンツマーケティングを適切かつ丁寧に行えば、潜在顧客の獲得や、既存顧客のリピート成約を見込めます。
取り組む場合は、社内のリソースを確認しながら無理のない目標を立てる事をおすすめします。
より詳しくコンテンツマーケティングを学びたい方はこちらの記事をあわせて参考にしてください。
コンテンツマーケティングを学習するための5つの方法まとめ
この記事を書いた人
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慶應義塾大学卒業。NTTドコモを経て、サイトエンジン株式会社に入社。
東南アジアでの集客やインターネット事情についての記事を執筆。
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