業者に依頼せずに社内でSEOを行うという方も増えてきています。インハウスでSEOをするときには、担当者の方がゼロから勉強するという場合もあるかと思います。本記事では、SEOの知識のない初心者の方がどのように基礎を学習していけばいいかをまとめてご紹介します。
なにか特別な方法が書いてあるわけではありませんので、即効性のあるノウハウのようなものを期待されている方には向いていない記事です。
目次
1.検索エンジンのビジネスを知る
まずはじめにするべきなのは、SEOで対象となるGoogleやYahooといった検索エンジンがどういったビジネスをしているのかを理解することです。現在日本ではYahoo!はGoogleの検索エンジンのシステムをほぼそのまま使っていますので、国内に限っていえばGoogleがメインとなります。そのため、Googleがどういったビジネスをしているのかを理解し、どういう考えで検索エンジンを改善しているのかを知りましょう。
Googleの将来の変更を予測するうえで非常に大切なことです。この大前提を理解しておくことで、どうサイトをつくるべきで、何がリスクなのかを把握することにもつながります。小手先のすぐに効果がなくなってしまう施策に手を出してしまうことが減るでしょう。
検索エンジンはユーザーにとって利便性の高い検索結果を返すために、日々改善を続けています。ユーザーが探している情報、満足するような情報がすぐに見つかるような仕組みを提供することで、ユーザーが増えて、Googleが得られる広告料金も増えるというわけです。
Googleによる試行錯誤の歴史を知ることも将来の方向性を予想するうえで参考になるかと思いますので、以下の記事もあわせてご覧ください。
SEOの未来予測のために抑えておきたいGoogleアルゴリズムアップデート12選
2.サイトの作り方を学ぶ
社内にプログラマ、コーダー、デザイナーがいるため、サイトを制作、編集したことがない方もいらっしゃるかと思います。
SEOを学習するためには、最低でもHTML・CSSの知識があったほうが望ましいです。大部分を暗記して、正確に再現できるようにする必要はありませんが、基本的なタグの使い方とサイトのつくりかたは勉強しておきましょう。
サイトの作り方がわからない状態ではSEOについて学習しても、わからない要素が多すぎて理解しづらいと思います。
初心者の方はまずはとにかく簡単なサイトを自分でHTML・CSSで書いて公開してみることが大切です。スポーツと同じで、いくら本を読んで勉強しても、手を動かさないと覚えられません。
3.SEO関連書籍を読んで学ぶ
初学者の勉強のためには、書籍が最適です。
SEOに関連する非常に有益なブログやウェブサイトは大量にありますが、どちらかというと最新の情報を追っている物が多く、体系的に学ぶのであれば書籍のほうが向いています。大量の書籍を読むのではなく、網羅的にまとまっているものを選んで、何度も読み込んでいくのがよいです。
おすすめの書籍を以下で紹介していますので参考にしてください。
SEOを習得するために順番に読むと効果的な定番3冊
書籍ではないですが、Googleによる以下のPDFもあわせて読んでおきましょう。
その他のGoogleによって提供されている資料は以下の記事でまとめています。
SEOを知るためにチェックしておきたいGoogleの公式ドキュメントまとめ
4.ウェブマーケティングにおけるSEOの位置付けを学ぶ
書籍やGoogle検索エンジン最適化スターターガイドでSEOの基礎を理解したら、ユーザビリティ・UX、情報アーキテクチャ、リスティング広告、アドネットワーク、LPO、アクセス解析、ソーシャルメディアなどの周辺の概念についても調べましょう。SEOはあくまでもウェブマーケティングにおける手段の1つであす。SEOありきで考えてしまうと、本来優先して採用すべき施策を見落とす可能性があります。そうならないために、他の手法も知っておくことが必要です。
他のウェブマーケティングの方法を知らない初心者がSEOだけを勉強すると、手段が目的化してしまって、本来の目的であるサイトのコンバージョン増加ではなくて、順位が指標になってしまったりすることがあるので気をつけてください。
なお、SEOの考え方はすべてのサイトで必須なので、たとえ他の手法に重点を置くべき状況だったとしても、サイトを運営する限りは知っておいて損はありません。
5.キーワードの選び方を理解する
上位を占めるサイトを抜かす必要がありますので、SEOでは常に競争相手を意識して作業することになります。
競争が多いキーワードであればあるほど需要が大きく、上位になったときの恩恵も大きいのですが、やはり上位にするまでに時間とコストがかかると考えたほうがいいです。そのため、需要のわりに競争が少ない、情報の供給量が少ないキーワードを選ぶことが大切です。
Googleキーワードツールを使ってキーワードの月間検索回数を調べて、そのキーワードで上位に表示されている競合サイトがどの程度SEOに取り組んでいるかを調べます。月間検索回数が大きいわりに競争相手が少ないキーワードを探しましょう。
ただ検索回数が多いだけでなく、よりコンバージョンに繋がりそうな属性の人を集めるために適したキーワードを選ぶようにしましょう。成約率を把握するために、リスティング広告でのテストを行ってからSEOのキーワードを選ぶのは良い方法です。
以下のページもあわせてご覧ください。
Q. 競合サイトがどのようなSEO施策を行なっているのかを教えてください
6.サイトを作って運営してみる
HTMLやCSSとSEOの概要を理解したあとは、さっそくサイトを作成して、狙ったワードで上位に表示させてみましょう。
サイトをつくるときには、無料ブログやワードプレスなどのCMSを使いたくなると思いますが、まずはすべて自分で作ってみることをおすすめします。ドメインの取得やレンタルサーバーの登録、FTPクライアントソフトのダウンロードなどもすべてやってみて、どういった仕組みでサイトができるのかを理解しましょう。
最初はできるだけニッチなワードで試すとよいです。たとえば3つの単語を組み合わせたキーワードであれば、すぐに上位に表示される可能性があります。いきなり競争相手の多い難しいワードを狙ってみても、結果がでないのでどうすれば上がるのかという実体験になりません。やる気も継続しないと思います。そんなにトラフィックは集まらないのですが、まずは競争相手がいない小さなワードで成功体験をつくりつつ、少しずつ大きなワードに対象を切り替えて行きましょう。
7.コンバージョンを増やすための考え方を知る
SEOの目的は順位を上げることではなく、売上や問い合わせ数などのビジネス上の目的となる数値を増やすことです。そのため、SEOとあわせてコンバージョン(成約)を増やすための方法を学びましょう。
たとえば以下のような項目があります。
自社の強みと競合サイトとの差別化要因、ポジショニング
ランディングページやフォームなど成約率をあげるためのサイト内の改善
KPI、KGIの設定
キーワードごとに対象とする見込み客の違い
客単価・顧客のライフタイムバリュー
1人集客あたりにかけられる費用の計算
検索結果でのクリック率を上げるための方法
顧客とのコミュニケーションを取るための中間コンバージョンの設定
8.集客のためのPDCAを回す
自分で試行錯誤してみること以上に参考になることはありません。
正しい情報やノウハウは自らの経験から積み上げて行きましょう。データを元にした改善プロセスをつくり、それを誰でも理解できるような形式で書面として残すことが大切です。
SEOは多少結果が出るまでに時間がかかりますので、改善施策を洗いだしてから優先順位をつけて計画的に実施していきましょう。
9.サイトやブログで情報収集する
ある程度基礎を把握して、サイトの制作や上位表示までの流れを体験した段階で、サイトやブログで情報収集を開始しましょう。
何も知識がない最初の段階でブログやサイトを読むのは、情報の取捨選択ができないのでおすすめできません。ある程度知識をつけてからSEOについて考察したブログなどを読んだほうがいいでしょう。
まず読むべきサイト
最新の情報を収集するためのサイト
10.プログラミングやサーバーについて学習する
HTML/CSSだけでなく、プログラミングやサーバーの知識があるとより良いです。
大規模なサイトの改善をするときに、プログラミングの知識があると、どれくらいの工数がかかって、影響範囲がどれくらいなのかといった推測がつくようになります。工数と効果を比較して、施策の優先順位をつけられるようになってきます。
プログラミングの知識がまったくないと、サイトをほぼゼロからの作り直さなくてはできない変更などあまり現実的でない施策を社内で提案することになってしまうかもしれません。(ときにはゼロから作り直すような改修も必要ですが)
継続的に学習
SEOに終わりはありませんので日々勉強とサイト改善をしていきましょう。
インハウスで高いレベルのSEOができるようになれば、それだけで競合との差別化要因になります。
時間をかけて社内にノウハウを積み上げていけば、売上を何倍にも上げることも可能です。
他によい学習方法などありましたら教えてもらえるとうれしいです。
この記事を書いた人
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1985年生まれ。2007年早稲田大学理工学部経営システム工学科卒業。
2008年サイトエンジン株式会社を設立しました。
学生時代にSEOを販売する代理店でテレアポと営業のアルバイトを始めたところからデジタルマーケティングの仕事に携わり続けています。
オウンドメディアの構築時の戦略立案や運用などを担当しています。
サイトエンジンではコンテンツマーケティングを中心に新規のリードを獲得し続け、累計800社以上とお取引させていただいています。
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