ミャンマーの電力事情についてネットで調べてみると、日本語による情報が少ないため最新の情報を得ることが難しいです。
そこで今回は、ミャンマー出張時に調べた電力事情についてご紹介します。
現地でのオフィス開設を検討されている方にも参考にしていただけるよう、電気代や停電事情について詳しくご紹介します。
目次
ミャンマーの電力事情
ミャンマーでは、水力発電が6~7割ほどを占めています。それに続いて、ガス火力・石炭火力が主な電力源となっています。ミャンマーにおける発電方法とその状況について、ひとつずつ見ていきます。
総電力(2013年度) | 117億628万kWh |
– 水力発電 | 86億771万kW |
– ガス火力発電 | 29億3571万kWh |
– 石炭火力発電 | 1億6105万kWh |
参考:海外電力調査会
主な発電
水力発電
ミャンマーでは、雨季の貯水を活用した水力発電を行っています。電気消費量の多い時期を、この雨季の貯水による水力発電でまかなっており、足りない分は火力発電で補っています。
しかし、ミャンマーにおいてこの水力発電にも問題があります。5月~9月にかけての雨季は問題ありませんが、それ以外の乾季に水不足となり、発電が追いつかなくなってしまします。また、水力発電所の老朽化によって発電効率が落ち、電気供給量が不足してしまうことがあります。
この問題を受け、2017年4月、老朽化した水力発電所の修理事業に対してJICAがミャンマーにて円借款貸付契約を行っています。
火力発電
2015年頃から火力発電が整備されはじめ、徐々に水力発電比率を押し下げています。
ミャンマーでは天然ガスの開発が行われており、中国やタイに輸送しています。天然ガスの予想埋蔵量は、インドネシアにも匹敵すると言われています。
バイオマスガス化発電
2017年より、ヤンマー株式会社がミャンマー首都ネピドーにおいてバイオマスガス化発電プラントを完成させました。精米所のもみ殻を利用した発電により、CO2の削減を図りつつ電源を確保するという取り組みです。
電力カバー率
ミャンマーの電力カバー率(電化率)は、2014年時点で38%とかなり低水準です。主要都市であるヤンゴン、首都ネピドーでさえも電力供給が不安定な為、地方部はいうまでもありません。政府は、2013年までに電化率100%となる事を目標に発電所の建設などを行っています。
この低い電化率を受け、海外からの技術支援や投資が行われています。日本との関わりでいうと、先ほどのヤンマー株式会社のバイオマスガス化発電プラントの開設や、パナソニック株式会社・三井物産株式会社によるミャンマーの無電地域への太陽光発電機器の提供などがあります。
停電について
停電の頻度
ミャンマーでは、4月中旬~6月が最も停電の多い期間です。1日で数回停電する事もあります。
工業団地では計画停電がありますが、都市部では計画停電はほとんどありません。これは、工業団地よりも都市部に優先的に電気を供給している為です。数時間単位の計画停電はありませんが、突発的な事故停電は都心部でも起きます。
停電の発生率は変電所に依存する為、停電が起きずらい地域の変電所と同じ管轄内であれば、電力が安定的に供給されるといえます。ミャンマー進出を検討されている場合は、この視点からオフィスを探してみるのも良いかもしれません。
停電対策
工場などでは、計画停電にそなえて発電機(ジェネレーター)を用意しています。停電が多い時期だと、電気代に加えて自家発電の為の燃料代がかかり、通常の約2倍のコストがかかるといわれています。数時間の停電に対応する為の小規模な発電機を導入している工場が多いため、長時間の停電が起こった際は燃費が悪いためコストがかさみます。
電気代について
ミャンマーでは、家庭用・事業用・産業用で電気代が異なります。産業用は大規模な工場が対象のため、オフィスなどは家庭用・事業用料金が適用されます。電力消費量に応じて、以下のように単価が上がります。
※1:ユニット=1,000ワット
※2:1チャット=0.08161円(2017年7月時点)
事業用
消費量 | ユニットあたり費用 | 円換算 |
---|---|---|
1~500ユニット | 75チャット | 約6.12円 |
501~1万ユニット | 100チャット | 約8.16円 |
1万ユニット~ | 150チャット | 約12.24円 |
家庭用
消費量 | ユニットあたり費用 | 円換算 |
---|---|---|
1~100ユニット | 35チャット | 約2.85円 |
101~500ユニット | 60チャット | 約4.89円 |
501ユニット~ | 75チャット | 約6.12円 |
レンタルオフィスなど
レンタルオフィスでは、電気代込の家賃となっているケースが多いです。過度な電力消費となった場合は、消費量に応じて別途相談となります。
まとめ
ヤンゴンなどの都心部では計画停電はほぼ無くなりましたが、事故停電などの突発的な停電は頻繁に起こります。2週間ほど出張でミャンマーに滞在していましたが、その期間中も停電を1~2回ほど経験しました。その際は小規模な停電であった為、数分で復旧しました。
また、ミャンマーでは、近いうちに電気代が上がると言われています。
ミャンマーへ進出をする際は、インフラの問題についてもしっかりと検討する必要があります。
この記事を書いた人
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慶應義塾大学卒業。NTTドコモを経て、サイトエンジン株式会社に入社。
東南アジアでの集客やインターネット事情についての記事を執筆。
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